2017-04

裏庭 - 2010.05.26 Wed

裏庭 (新潮文庫)裏庭 (新潮文庫)
(2000/12)
梨木 香歩

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身代わりつながり読書シリーズ。
イケダ様、桔梗さまご推薦?
ちょっとカタカナじゃない名前の本が読みたいな。と思っていたのですが。
思いっきりカタカナ出てきました(笑)。
梨木さんは「西の魔女が死んだ」を読んで他の作品を読みたいと思っていたのですが、こちらがデビュー作。
しかも、英国留学されていて、あちらで児童文学を学んだ方だと知りました。
非常に納得。

ふたごの弟の死を受け止めきれない家族の再生と少女の成長を描いたファンタジー。

以下、感想・・・・・かな?


最初に。
ハッピーエンドで心底ほっとしました。
もう、読んでいる間、主人公・照美の描写がどうにもつらいというか。
親に愛されていないと自覚している子供の諦めた心情って・・・・・心が痛かったです。
ハリポタも何だか最初のハリーの描写が辛くて、途中で読めなくなったのを思い出しました。
ぎゅって抱きしめてあげて!と心の中で叫びます。

舞台は日本なのですが、ご近所では有名な英国人の別荘・バーンズ邸。
戦前は姉妹を持つ一家が住んでいましたが、戦時を挟み、戦後の今では住むものもいなく、子供達の格好の遊び場・おばけ屋敷としてこっそりと人気の場所。
ヒロイン照美もそんな近所の子供達と同様にふたごの弟・純と一緒にバーンズ邸を自分の庭にしていたのでした。

しかし、弟・純の病死により、夫婦間、親子間に見えない亀裂が入ります。目に見える不協和音を奏でているわけではないのですが、希薄になってしまった親子関係を修復することが出来ず、照美は友人の祖父・丈治との交流に心を慰めます。
実は丈治も子供時代に、バーンズ邸の姉妹と遊んだ人物でした。
丈治は姉のレイチェルと仲が良く、バーンズ邸の庭での思い出をを照美に話してくれます。

その頃レイチェルはというと、母国イギリスで名士としてたくさんの養子を育てあげていました。
彼女は結局独身で通し、淡い初恋相手ジョージのいる日本。
大好きな桜の花が美しい日本の別荘について思いを馳せます。
そして、レイチェルは、往年のパートナー、家政婦のマーサにイギリスの本家を任せて、バーンズ邸に向かいます。

街中にたたずむバーンズ邸には人知れず受け継がれている秘密があったのでした。


庭の描写といい、照美の心情といい、マーサの様子といい、実に英国仕込!と思いました。
デビュー作だからか、「西の魔女」の方が洗練されている印象がありましたが、植生の様子が細かいです!
そして、レイチェルとマーサの会話が素敵です!!!
照美はどうしても後ろ向きになって、逃げ腰になってしまうので、もう切ないというか、まどろっこしいというか。
老婦人の会話がとても救いになります。

「赤毛のアン」を読んだ時も養母マリラに感情移入していたので、そういうお年ごろなだけかもしれませんが(笑)。

バーンズ邸に入り込んだ照美は吸い寄せられるように一つの大鏡の前に立ちすくみます。
祖母がつけた照美という名前の意味が明らかにされ、少女の冒険が始まります。


異世界に入り込んでいる間は書体が変わって、まさにファンタジーという世界が広がります。
さまざまな暗喩が散りばめられていて、それまでの伏線もそれからの伏線も盛り沢山でした!
読み終わって、全部拾い切れているかどうかは謎です(笑)。
「対応する二つのモノ」というのがキーワードだとは思うのですが。
解説にもありましたが、対応表とか作ると面白いと思います。
答えあわせが欲しい気もしますが(笑)。
いろいろ書くとネタバレになる気がするので書きませんが(笑)。

いつか答え合わせ的な続編が出るのでしょうか?
西の魔女の短編みたいな。

コロウプの姿が全く想像できず・・・・・。
そして、照美の祖父が非常に疑問です。

面白かったというには心が痛くなりすぎて言えないんですが、心に残る一冊には違いないです。

「日本ではねえ、マーサ。家庭って、家の庭って書くんだよ。フラット暮らしの庭のない家でも、日本の家庭はそれぞれ、その名の中に庭を持っている。さしずめ、その家の主婦が庭師ってとこかねえ」
「なるほどねえ・・・・・。庭には植物の一つ一つが造る、生活は家族の一人一人が造るってことですかねえ。深い、重みのあることばです」



胸に響きました。
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● COMMENT ●

桔梗さま

コメントありがとうございます。
シッカリ休養なさってお元気になってくださいね。
今年は本当に気候が不安定ですね。

照美ちゃんの祖母・妙子さんは望まれない妊娠だそうです。
母・幸江さんにとって父は亡くなっていたという認識しかないらしいです。
新しい血を入れるとあったので、おじいちゃんが関係あるのかないのか?と。
女系というか母系が重要ということなんですかね?
丈治さんは照美の友人・綾子の祖父ですね。

ソフトな話なだけに身につまされるというか(笑)。
描写がハードだと多分読めません。
幸江さん的位置にあるのでいろいろと思います。

「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」 桜庭一樹 著 を連想しました。

「家守綺譚」も面白そうなのですが、「村田エフェンディ滞土録」が題名を見たときに非常に気になりました(笑)。
「ぐるりのこと」は映画化されたものですよね?そちらも気になります(笑)。
梨木さんはタイトルが非常にツボ。

こんにちは。
かぜっひきでお休み中です。
どうでしたか?
家守綺譚のほうも、どうも日本庭園のはずなのに庭のとらえ方が西洋的ですね。
照美ちゃんの祖父って出てきましたっけ?(友達のおじいちゃんが丈二さんですよね?うろ覚え)
親に愛されない子どもの自覚……これはその観点ではまだまだソフトな話だと思いますけれど。
他の話も良かったら是非。
ではまた。


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