2017-04

雨が上がると 6 - 2010.08.28 Sat

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
双子+着ぐるみ王子+侍従兄妹+未亡人です。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。



『重なる面影   ~シアランにて~ 』


「ミレーユゥ!またそんな可愛い顔して。どうしたんだい?」
突然目の前に現れた兄は、ぎゅううっと抱きつくと、ほっぺをふにっとつついた。
「・・・・・フ、フレッド?またあんたはそんな綺麗なドレスを着て・・・・・。あたしなんて相変わらず制服着ているときの時間が多いっていうのに・・・・・。しかも、そのドレスの胸元!!そのボリュームをどうしたら出せるのよっ!!あたしなんてあんなに毎日毎日努力しているのに・・・・・・。制服のサイズも変わらないのよっ!!」
びっくりしたと同時に、先程の柔らかい感触を思い出して、つい悩みをぶちまける。

「ああ、これのこと?ルーディの特注品だからねえ。」
視線を胸元に落とすとフレッドは平然と答えた。
「きみとあんまりサイズが違ってもいけないから、同じ位にしてある筈だけど?デザインも胸元を強調しないようなデザインだろう?」
パチリと片目を瞑って微笑むが、その仕草は少女そのものだ。
「明らかに違っているわよ!・・・・・おかしいわねえ。同じドレスを交換して着ているはずなのに・・・・・。くっ、どうしてフレッドが着ている時のほうが色っぽく見えるのかしら?」

本格的に悩み始めた妹をのほほんと観察しながら、後ろに控えているロジオンに視線を向ける。
「今日はこれから何か予定があったかな?」
「は。今日はこれからアリス様の特別授業があったのですが、ジェラルド殿下のお体の具合が少しよくないらしく、時間を変更するか、中止になるかという状態です。」
悩み続けるミレーユをフレッドと同じように見つめながら、ロジオンは落ち着いた声で答えた。
「そっか、なるほどね。それであんな顔していたんだ。じゃあ、ちょうど良かったかな?」
まぶしい笑顔でロジオンに微笑みかける。ミレーユの方は未だ自分の胸に手を当ててぶつぶつと何かつぶやいている。

「ジェラルド殿下はここのところのぼくとの追いかけっこで、ちょっとお体に負担がかかっちゃったみたいなんだよね。エルミアーナ様も王子様ごっこは少しお休みして、お見舞いに伺うとおっしゃっていたから、ぼくらも行こうと思って。」
ミレーユの肩をぽんぽんとたたきながら、先程と同じ笑顔を向ける。
「・・・っ!あんたが原因だったの?あんなに可愛らしいジェラルド殿下に何てことするのよっ!」
一応、話は聞いていたらしい。

恋人を連想させる面立ちを持つ小さな男の子は妹の中でも少なからず心を占めているようだ。親友と出会った頃はもう少し大きくなっていたのだが確かによく似ている。
ころころと変わる表情はあの頃の親友には見つけることができなかったが、今の彼は妹と共にいるせいか、たくさんの表情を見ることができるようになった。

「別に何もしていないよ。ぼくを見つけた殿下が全力で泥団子を投げつけてきたり、追いかけてくるからね。今まで、そんなに自由に行動されたことが無かったから、少し体力が追いつかないだけだよ?アリス様もその辺りはご承知されているから、いい体力づくりだと思っていらっしゃるみたいだけどね。先日の雨で少し濡れてしまって、お熱が出たらしいんだよ。今まではそんなことも無かったから、大事をとっていらっしゃるんだよ。」
しれっとした様子でフレッドは続けた。実際に小さな殿下の母君は、今までにない息子の表情に安堵しているらしい。ふとした表情に離れている母を思い起こさせた。

「・・・・・・明らかにあんたの責任じゃない。さぁ、アリスさまとジェラルド殿下に今すぐに謝りに行くわよっ!」
怒りに震えながら、ミレーユはぐいぐいとフレッドを館の方へと連れて行こうとする。

「ハハハ。ぼくの首をしめるのはきみは相変わらずうまいねぇー。でもね、さっきヴィルフリート殿下にお会いしたんだけどー。新しいお菓子のレシピを入手したから、ぜひ試作してみたいとおっしゃっていたんだ。せっかくだから、お菓子持参でお見舞いに行こうよ?」
にこやかに笑いながら相変わらずの変人発言をする兄をミレーユは訝しげに見つめる。
「・・・・・どうしてそんなに首を絞められて嬉しそうなのかわからないけれど。そうね!新作のお菓子という情報を聞いてだまってはいられないわ!さあ、ヴィルフリート様はどこ?いつもの厨房でいいのかしら?」
すでに、心は新作お菓子へと飛んでしまったようだ。
一瞬、夢見るような顔をしたあと、気合の入った眼差しで殿下の行方を訊く。
「ハハハ。そうだよ。いつもの厨房さ。もう先に行かれていると思うからこのまま行こうか?」
ミレーユに引きずられたままのフレッドをそのままに、ロジオンを連れて3人は厨房へ向かうこととなった。

「ああ、ようやく来たな。」
厨房の扉を開けると、戸棚の料理器具を眺めながら、ヴィルフリートは待っていたようだった。様々な器具も彼の好奇心を刺激するらしい。真剣な表情をして手にとっている。
ミレーユの姿を認めると手に持っていたものを戸棚にしまって微笑んだ。

「はいっ!新作のお菓子のレシピがあるって、フレッドに教えてもらって。」
ミレーユが嬉しそうに答えると、
「うむ。これだ。」
ヴィルフリートは懐から誇らしげに一枚の紙を取り出して中央のテーブルの上に広げた。

「小麦粉を使って作る料理というのはいろいろとあるものなのだな?出来上がった料理はたくさん食べてきたが。材料から揃えてみるというのも面白いものだな。」
最近では出入りの業者とも顔なじみになり、その素直さを愛されてか、熱心さに職人魂を触発されてか、新しいレシピを問わずとも紹介されるようになっているらしい。ルーディが呆れたように話していた。

「そうですね!隠し味になっていて、外からは見えないものがたくさん混ざっていますからね!」
にっこりと微笑んでミレーユが答える。ヴィルフリートは満足したように頷くと、
「材料の方もアンジェリカに頼んでおいたから、大丈夫だろう。そろそろ来るんじゃないか?」
何度も一緒に料理をした経験からか、すでに手配は済んでいたらしい。

入ってきた扉の方を見ると、ちょうどアンジェリカが材料を持ってきたところだった。
「失礼しますわ。あら、ミレーユ様が到着なさっていましたか。お待たせしませんでしたか?」
ヴィルフリートはミレーユの方へと視線を向けると、
「ああ、来たばかりだ。なあ、フレデリック。」
レシピを覗き込んでいるミレーユの隣でドレス姿のままのフレッドに声をかけた。
「はい。殿下。新作のお菓子と聞いて、いてもたってもいられなかったようですよ。」
とても扉の前まで引きずられた形跡の見当たらない、欠片も乱れた様子のない完璧なドレス姿で颯爽と答えた。

「さすがミレーユ様ですわ。でも、そのままだと制服を汚してしまいそうですわね。こちらのエプロンを。みなさまもいかがですか?」
ウキウキとした様子で持ってきた材料を手際よくテーブルに並べ、戸棚からエプロンを取り出す。
アンジェリカはミレーユ、ヴィルフリート、フレッド、ロジオンの順に渡すと、手早くヴィルフリートがエプロンをつけるのを手伝った。

「さてと、それでははじめますか。」
ぐるりと全員のエプロン姿を眺めながら、ミレーユは宣言した。

「ああ、この美味しそうな匂い。すごく新鮮なのね。」
「もちろんですわ。シアランは食の都ですからね。」
「へえ。こんなものまで使うんだねー。」
「今の時期だと熟れ過ぎていなくて、加工するのに最適なのです。」
「うむ。時期によっても調理法を変えるのか。」

賑やかに調理は進み・・・・・
「さてと、これをのせたら終わりね。みんなおつかれさま!」
エプロンを外しながら、ミレーユはにっこりと微笑んだ。

テーブルの上には所狭しと、新作のお菓子が並んでいた。味見と称した簡単なお茶会が開かれる。
「新作と申しましても、シアランではこのようなお菓子が伝統的に作られていますのよ。味や見た目はもちろんその職人によってそれぞれの美味しさがありますけれど。」
にこやかにアンジェリカが説明する。

「さすが、食の都よね・・・・・。」
「うむ。美味であった。レシピを持ってきた商人には伝えておこう。」
ヴィルフリートは満足気にうなずいた。
「ジェラルド殿下も喜んでくれるといいけれど。」
「ぼくのミレーユがこんなに一生懸命作ったものだからね。もちろん喜んでくれるさ。ね、ロジオン。」
「は。」
「みんなが美味しかったんなら大丈夫ね!よかった!早速持っていかないと!」
ミレーユは張り切った様子で勢いよく椅子から立ち上がった。

「ちょっと待ってミレーユ。・・・さすがにその格好だとまずいから、隣の部屋でぼくと服を交換しないとね。」
フレッドがパチリと片目を瞑って合図する。
「そうね。ジェラルド殿下にフレッドと間違えられてもね・・・・。」
お見舞いに行ったつもりが、無駄に興奮させてもいけない。
男装したままでは恋敵に勘違いされてしまう。

「隣室の確認はしてまいりました。今すぐお使いになれます。」
いつの間にやらロジオンは厨房を出て着替える手配をしてくれていた。
二人は厨房から隣室へと移ると、急いで着替えを始めた。

「付け胸・・・・・。そのまま貸してもらってもいいかしら・・・・・。」
「ぼくは構わないけれど。アリス様にはひと目で見抜かれてしまうよ?」
「・・・・・や、やっぱり?」
ドレスの着付けをアンジェリカに手伝ってもらいながら、最後の仕上げとばかりにその手に握っているものを凝視する。

「そりゃあ、バレバレだよ。・・・ヴィルフリート殿下にもわかっちゃうよ。」
隣室の方に視線を送ってから、ミレーユを振り返る。
「・・・・・そ、それはちょっと恥ずかしいわね。・・・せ、せっかくだけど・・・か、返すわ。」
名残惜しげにその柔らかな感触に触れながら、フレッドに差し出した。

制服に身を包んだフレッドはそれを受け取りながら、
「大丈夫だよ、ミレーユ。リヒャルトはぜんっぜん、まっったく気にしないから。」
まぶしい笑顔で朗らかに宣言する。その声を聞いている様子も無く、
「・・・・・はぁ。いつになったら大きくなるのかしら・・・・・。」
ミレーユはドレス越しに胸に手を当てると大きな溜息をついた。

着替えを終え、厨房に戻ったミレーユはテーブルの上の一つずつ可愛らしく包まれたお菓子を見て驚くことになった。
「・・・・・すごく可愛らしいですね!ヴィルフリート様ですか?」
一つ取り上げて、優しく手のひらにのせるとまじまじと観察する。
「うむ。ロジオンが包み方を教えてくれたのだ!なかなかうまいものであろう?」
翠の瞳をきらめかせ少し自慢げに胸を張って応える。

「はい!とっても可愛らしいですよ!・・・・・っていうかロジオンが教えたの?」
驚いたまま、ヴィルフリートのそばに控えていた彼に視線を送ると、
「は。東へ行ったときに覚えてまいりました。」
平然とした顔で頭を下げた。
「・・・・・!!。修行の旅ね!・・・一体いつになったらリヒャルトは教えてくれるのかしら?って言うか、どんな修行をしていたのかしら・・・・・?」
有能な侍従はどんな能力を持っているのか?その主は何を修行してきたのか?底知れない。

「それじゃあ、そろそろ、ジェラルド殿下にお見舞いにうかがっておいでよ。あんまり大勢行っても仕方ないから、ぼくらはこれで解散ということで。アリス様にもよろしくね。」
フレッドがひらひらと手を振りながら、厨房の扉を開けて外へと促す。
ミレーユとロジオンは可愛らしく包まれたお菓子を籠に詰めると、早速、館へと向かった。

「まあ、わざわざ足を運んでいただいて申し訳ありませんでした。」
見舞いに来たと告げると、アリスは申し訳なさそうに頭を下げた。いつもの妖艶な魅力は影を潜め、子供を心配する母親そのものの姿だった。

「いえ、フレッドが迷惑をかけたみたいで・・・。それで、ジェラルド殿下は大丈夫なんですか?」
いつもと違う様子にミレーユは具合が余程悪いのかと驚いたが、
「はい。すっかり熱も引いたようです。いま、水を取り替えようと出てまいりましたの。すっかり寝込んでおりますので、一緒に様子をご覧になってくださいな。」
微笑んだ姿はいつもの艶やかな姿に戻っていた。

「こちらでございますわ。」
アリスの案内で、ジェラルドの寝室へと導かれたミレーユは、健やかな寝息をたてる姿に安心した。
近づいて顔を覗き込むと、血色もよく、少し汗ばんだ様子もあるが、穏やかな顔をしてぐっすりと眠っている。
手際よく額に置かれた布を取り外し、軽く汗を拭いた後、水に浸して絞ると、再び額に乗せ、アリスは微笑んだ。そのまま、物音を立てないようにそっと部屋を抜ける。

居間の方へと戻ると、すっかりいつもの様子を取り戻したアリスはミレーユが持っている籠に目を留めた。小首を傾げて視線だけで答えを待つ。
ミレーユはなぜか気恥ずかしい気持ちがするまま、その無言の問いに答えた。
「あ、これは殿下に食べていただこうと思って、みんなで作ってきたんです。この可愛らしい包み方はロジオンとヴィルフリート殿下の力作なんですよ。」

差し出された籠をアリスは受け取ると、
「まあ、ありがとうございます。・・・なんて可愛らしい。ジェラルドも喜びますわ。」
お菓子も誘惑されるのではなかろうかという微笑でミレーユをじっと見つめた。

「・・・さ、さすがアリスさまね。すごい眼力だわ・・・・。あたしもいつかは会得できるかしら。」
視線を受けてたじろぎながらも、そういえばと、今日の特別授業の予定を思い出した。
「ジェラルド殿下も落ち着いていらっしゃるようですし、今日の授業はどうしましょうか?」
「そうですわね。ばたばたしてしまって、準備ができなかったんですの。申し訳ありません。後日改めてということでよろしかったかしら?・・・・・でも、せっかくいらしていただいたのだから、何か質問がありましたらお受けしますわ。」
アリスの仕草一つ一つが生きた教材であるように感じているミレーユにとっては、願ってもいない申し出である。

「ええっと。それでしたら・・・・・。」
勢い込んで質問を考えたのだが、咄嗟には浮かばなかった。いつもなら、覚えきれないほど質問を持っているのだが、書き留めてある帳面をどうやら制服の中に入れ忘れてきたらしい。
「・・・・・すみません。すぐに思いつかないようです。」
自己嫌悪に陥りつつ、ふと、フレッドの言葉を思い出した。

「そういえば、今回のジェラルド殿下のお熱の原因がフレッドにあったって聞いたんですけど。申し訳ありませんでした。」
「まあ、誰がそんなことを?」
思いがけないことを聞いたというようにアリスは目を瞠った。
「フレッド本人からです。あの子を追いかけて雨に濡れたって言ってました。」
それを聞いて納得したのか、安堵したように溜息をついた。

「まあ、そうですの。確かに、毎日のように、エルミアーナ様ではなくて、フレデリック様を追いかけていたようですが・・・・・。お二人を屋根のないところで待ち伏せして、勝手に雨に濡れて風邪を引きましたのよ?自業自得というものですわ。お体があまり丈夫ではないエルミアーナ様を気遣って、雨の降りそうな時はフレデリック様はさりげなく室内へとお誘いになっていますのに。」

楽しげに笑いながらエルミアーナ様を誘っているのはきっと自分が楽しいからだと思うのだけれど。
容易に想像できるが、体調を気遣っているのも事実だろう。むちゃくちゃに見えて肝心なところは外さないのだ。

「それに、隠れていたジェラルドを見つけてくださったのもフレデリック様なんです。今までは幽閉同然の生活を送っていましたから、自由にいろいろな場所にいけるようになったのが嬉しくて。子供の奔放さで思いもよらないところに隠れていたりするものですから。雨に濡れるのも楽しかったらしく、わたしと一緒にフレデリック様にも捜していただいて、ようやく見つけましたの。」

そういえば、兄は普段どこにいるのだろう?探検をしていたら隠し通路を見つけたと教えてくれたけれど。
いつも遊んでいるように見えるが・・・・・。いつもどこからともなく現れるのは・・・・・。

「ですから今回の責任はあの子にありますのよ。熱も引いたようですし。ご安心くださいな。」
そう言って艶然と微笑むとアリスは口元を扇子で隠した。
「・・・・・そうですか。あんなに可愛らしい殿下ですから。早くよくなると良いですね。」
物思いに沈んでいたミレーユは、心ここにあらずの態で答えてしまったが、アリスは責任を感じていると思ったようだ。

「ミレーユ様は随分とジェラルドのことを気に入ってくださったのですね。」
意外な質問をしてきた。
「え?・・・ええ、可愛らしいですよね。リヒャ・・・いえ、大公殿下のお小さい頃にそっくりだと思って・・・・・。」
ジェラルド殿下とリヒャルトの姿を思い浮かべて、ぽうぅっとする。
「アリスさまは小さい頃の大公殿下をご存知ですよね?似ているとは思われないんですか?」
実際の姿をアリスは知っているのだと気付くと、俄然興味がわいてきた。

「そうですわね。殿下がジェラルドと同じ位の頃というと、ハロルド様が娼館へとご一緒されている頃でしたわね。」
さらりと再びおそろしいことを言う。
「し・・・・・・・・・娼館・・・・・。ぐ、具体的にどういうことをされていたんですか?」
あまり想像できるところではないが、この際だから質問をしてみる。
「ええ、ふふふ。そんなに怖いところじゃあございませんのよ?ミレーユ様はラドフォード男爵とは面識がございましたわね?」

「はい。トーマスさんですね。何度かお会いしたことがあります。シアランでもお会いしました。」
そういえば、宮殿に乗り込むときにお世話になった。今頃どうしているのだろうか。

「男爵は、それはそれは手広くご商売をやっていらっしゃいましたの。娼館というのは様々な人間が集まりますわ。若い・・・幼いといっていいものから、年配のものまで。他国から流れてきたものもおります。そうした方々は様々な容姿の違いと言葉の違いがありますの。そうした違いを直に触れることによって、覚えていらっしゃったんですわ。ラドフォード男爵のご紹介でわたしもハロルド様にお会いしたんですよ。もちろん、殿下は利発で端正なお顔をお持ちでしたから、大変おモテになっていましたけれど。それ以上にハロルド様に魅了される方のほうが多くて・・・・・。ふふふ。楽しかったですわ。」

・・・・・。何かすごいことを聞いてしまったような気がする・・・・・。

「そうですわね。殿下の方がすでに大人びたお顔をしていらっしゃっいましたが、髪の色や瞳の色は似ていますわね。」
懐かしさを帯びた瞳に少し切なそうな色が混ざる。
「本当に懐かしいですわ。ハロルド様を中心に、とても楽しかった・・・。お側にあがったときから覚悟はしていましたけれど。ジェラルドがこんなに大きくなったとお見せしたかったですわ。」
「素敵な方だったんですね。」
思わずミレーユがつぶやく。
「ええ、あのような方は後にも先にもお会いしたことがありませんでしたわ。たくさんの思い出をいただきました。それに、たくさんの同志の方ともお知り合いになれましたし。何よりも大切な宝物をいただきましたもの。」
アリスはそう言うと、ジェラルド殿下の寝室を振り返った。

「そうそう、こちらのロジオン様もご一緒したこともございますのよ?」
向き直ったアリスはミレーユの後ろを意味ありげに見つめると、妖艶に微笑んだ。

「え、ええっ!ロジオンもっ!!」
ミレーユは思わず振り返ってまじまじと見つめてしまった。
「は。抜け道など。館のからくりや変装の仕方など教えていただきました。」
表情は変わらないまま、生真面目に答える。
ミレーユはそんな世界もあるのだと、また一つ勉強することになったのだった。

「おかえりぃ。ミレーユゥ。」
アリスの元を辞して、自分の部屋へと戻ってみるとフレッドがぎゅううっと抱きついてきた。
「ただいまー。」
「ジェラルド殿下はお元気そうだった?」
フレッドはパッと離れると、まぶしい笑顔で訊いてきた。
「ええ。ずっと眠っていらっしゃったけれど、熱も下がったそうよ。フレッドが原因じゃないから気にしないでってアリスさまに言われたわ。」
「そう。お熱が下がったんならよかったね。安心したよ。そういえば、さっきブルック卿が来て宿題のやり直しだってそこに置いていったよ。」

フレッドが指差した先には、昨日終わったはずの宿題がそのまま机の上に積まれていた。
ミレーユの修行はまだまだ続くのであった。

~終わり~

最後までお付き合いくださりありがとうございました。
・・・・・。イロイロスミマセン。
書いてるうちに最初のネタからどんどん離れていくのは何故ーorz。

追記 2010.8.31
アリス様はわたくしではなくてわたしでした・・・orz。
そして、フレッドのことは伯爵呼び・・・orz。
申し訳ありません。
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● COMMENT ●

sakura様

連続!!コメント(笑)ありがとうございます。
嬉しいです!

胸・・・祭りに触発されたんですよ(笑)無意識に(笑)。・・・イマサラスミマセン。
でも、ミレーユもリヒャルトさんの意向は「ぜんぜんまっったく」気にしないと思うのですよ(笑)。

ジェラルド・・・女子と男子とは違うんでしょうが、妙に幼い九歳児?と思わなくも。知識が偏っているんでしょうけどね?ミレーユに対してどんな風に思っているのかな?と。男の子はよくわからないのでした(笑)。

リヒャルトさん・・・お仕事で忙しそうです(笑)。深夜にミレーユから話が聞けるかな?と。実は「窓越し」の続きネタのつもりだったのですが、書いているうちに妙な方向に・・・・・orz。

アリス・・・捏造も甚だしい限りで(苦笑)。申し訳ありません。
踊り子さんなのでテオの家と関連があっても面白いかもしれませんね(笑)。謎です。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

桔梗さま

コメントありがとうございます!

ロジオン・・・ずっとお付きなんですよね(笑)。修行の旅がいつ明かされるのか(笑)。
胸・・・最近プールでお嬢さん方の素敵な谷間を拝見(笑)。ミレーユと同じ悩みを持つものとしてはじっくり見てしまいました(笑)。まあ、薄乳でも母乳は出るから大丈夫だよ!ミレーユ!(乳母つけるから関係ないのか?)

セシリア・・・本当はフレリアを書いてみたかったんですが(笑)。どこにも気配が無くなってしまいましたね・・・・。フレッドがそばにいなければ乙女なお姫様設定では無かったでしょうか(笑)。なんだかんだでセシリアも真面目だと思うので。よくしつけられたお嬢様なんじゃないかなと(笑)。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

二作品も!

こんばんは。
連続コメント、失礼します(笑)。

こちらはシアラン組ですね。
二編も書かれたのですね。凄いです!

胸を気にするミレーユが可愛いです。
作中のフレッドも言ってる通り、「リヒャルトはぜんっぜん、まっったく気にしない」のに(笑)。
熱を出して寝ているジェラルドとリヒャルトの登場がなくて、ちょっと残念でした(笑)。
アリスから昔話を聞くのも楽しかったです。

moaさまの創作は細部迄設定が練られていて、本当に素晴らしいと思います!

修行の旅

そっか、殿下の修行にロジオンがついていかないわけないですね(笑)。
胸ネタも含めて盛りだくさんでした。

アルテマリス組みの方も楽しく拝見しました。
セシリアが普通のお嬢さんでびっくりしました(笑)。


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