2017-10

スポンサーサイト - --.--.-- --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

雨が上がると 8 - 2010.09.22 Wed

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
双子だけです。
7のおまけ的なってどこまで引っ張るのか(汗)。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。










『琥珀色の月』


「どうかされましたか?」
リヒャルトを見送ったあと、扉のそばでぼんやりと物思いに耽っていたミレーユは、ロジオンの声に驚いてしまった。
「え?・・・えーと、なんでもないわ。ちょっと考え事をしていただけなの。」
思わず曖昧に微笑んでしまう。

先ほど届いたセシリアからのショールと手紙の内容に喜びつつも、同時に責任も感じてしまう。
大事な家族。
そう思ったら、すぐそばにいる兄に、無性に会いたくなった。
「・・・・・ねえ。ロジオン。今からフレッドに会いに行こうと思うんだけど。大丈夫かしら?」
「は。今時分ですと、お部屋の方にいらっしゃると思いますが。・・・短時間だけなら構わないのでは?」
リヒャルトはフレッドに会ってから、ミレーユの元へと来てくれたが、深夜の逢瀬は短くも長い。
神出鬼没の兄のことだから、今頃何をしているのか・・・。見当がつかない。

「・・・・・とりあえず行ってみようかしら?」
いなかったらいなかったでその時だ。そう思ったら、体はすでに階上のほうへと向かっていた。
「アンジェリカ、聞こえていた通りだ。あとは任せた。」
部屋の中で、茶器の片づけをしていたアンジェリカの返事を聞く前に、ロジオンは護衛の対象を追いかける羽目になった。

ランプもないまま来てしまったが、毎日通いなれた回廊である。
そのうえ、今日は満月のようで足元には琥珀色の柔らかい光が溢れている。
どういう構造かはわからないが、大きな窓があるわけでもないのに、壁に囲まれた回廊には日中いつも光がさしている。小さな隙間がどこかに開いているらしく、通風と採光には困らないらしい。
今もミレーユは危なげなく進むことができた。

「あれ?ミレーユ?こんな時間にどうしたんだい?」
先触れもなしに訪れたが、ちょうど兄は在室していた。
珍しい時間の訪問に、きょとんとした顔をして、小首を傾げている。
書き物をしていたのか、机の上には帳面と筆記具が揃えられていた。

「う、うん。ちょっとね。」
ただ単に会いたくなっただけだと告白するには、少し気恥ずかしい。
部屋のあちこちに視線を泳がしたまま、思案していると、
「素敵なショールだね。ぼくに見せに来てくれたの?やっぱり、賞賛の声があるとないとじゃ美貌の輝きが違うよね。」
いつも通りのまぶしい笑顔で当然のように言ってのけた。

「・・・・・何を言っているのかよくわからないけど。素敵なショールよね。セシリアさまのお手製なのよね。」
「うん。そうだよ。ぼくもこちらをいただいたんだ。リヒャルトとお揃いなんだけど・・・・・。それがうらやましかったの?」
小首を傾げてにこりと笑う。そして、どこからともなく見事な白薔薇の刺繍が施された薄青色のハンカチーフを取り出してミレーユの目の前に広げた。

「え?お揃い?言われてみれば!そういえばリヒャルトとお揃いのものって何も持っていないわ。凄くうらやましいかも!って・・・・・ち、違うわよ。い、いえ、その刺繍も素敵だったから、見せてもらいたいとは思っていたけれど。」
思わず広げられた美しい作品に見入ったまま、うっかりと本音を漏らしてしまう。
「思っていたけれど?」
フレッドはつまんでいる指をひらひらと揺らしながら、にやりと笑う。
「・・・・・セシリアさまのお手紙に何か書いてあった?」
ずばりと当ててきた。やはりこの兄には隠し事などできそうも無い。

「・・・・・どうしてわかるのよ。」
思わず拗ねたように言ってから、じっとフレッドの瞳を見つめる。
「そりゃあ、ぼくそっくりの可愛い顔が憂いに満ちた表情をしていれば、悩みの一つもあるんだと検討もつくさ。リヒャルトに相談できないような、ね?」
ぱちりと片目を瞑って、あっけらかんと答える。
「さあ、さあ、その椅子に座るといいよ。お兄ちゃんが全部きいてあげるから。」
強引に目の前にある椅子に座らせると、自らも向かい側の椅子に陣取った。

「べ、別に大した事じゃないんだけどね。」
目の前に座る兄の眼がいつもよりキラキラしているのは気のせいではないだろう。
この辺りが頼りにしてもいいのか悪いのか。思わず躊躇ってしまう。
「じゃあ、気軽に話してごらんよ。別に調度品や壺が飛んでくるわけじゃないからさ。」
さらりと怖ろしい事を言う。ミレーユはアルテマリスの地獄絵図を思い出して、顔が青ざめた。

「・・・・・そういえば、この前、リヒャルトがセシリアさまにお手紙を書いていたけど、きみの提案なんだって?」
突然、思いもよらない方向に話が転がった。
「え?ええ、そうよ。・・・そう、書いていたの。まだ、あたしの方が書いていないのに・・・・・。」
遠く離れて暮らす兄と妹。
自分とフレッドに重なって、何気ない思い付きを口にしただけなのに、即座に実行に移してくれていたことに、胸が温かくなる。

「今回のお礼も兼ねて、早目に出すといいよ。」
「そうね。こんなに素晴らしいショールですもの。随分時間もかかったでしょうし・・・・・。」
「それに、お手紙もいただいたんだろう?なんて書いてあったのさ。」
「うん。みんなが無事でよかったって事と・・・・・・・・。」
手紙の内容を思い出して、ミレーユの頬が赤く染まる。
確かに、結婚すればそういうことなのだ。表立って言えない関係だけれど・・・・・。
「・・・・・。お兄様をよろしく。お・ね・え・さ・ま。とでも書いてあった?」

「え、ええっ?どうしてそれを!?・・・・・フレッド、あんた他人の手紙を盗み読みしたわね?」
伏せていた顔をがばりと上げて、立ち上がり、思わずフレッドの首を絞める。
「フフフフフ。浮かれていても、相変わらず首を絞めるのはうまいねぇ。」
うっとりと陶酔した笑顔でつぶやくフレッドに、はたと我に返り、ミレーユは手を緩める。
「違うでしょ!何でそのことを知っているのよ!」
「忘れているかもしれないけど、白百合騎士団はセシリアさま付きなんだよ?そして、ぼくはその騎士団長。主の意向はある程度予想できるというわけだよ。」
襟元をつかまれ、ぐいぐい揺すぶられながらも、笑顔のままでフレッドは答えた。

「・・・・・。本当に読んでいないのね?」
「もちろんさ。そんなお行儀の悪いことはママに叱られちゃうだろう?」
確認するようにじとっと見つめたミレーユの視線を正面から受けて、キッラーンと効果音が聞こえるような笑顔でフレッドは答えた。
「ま、まあ、確かにね。ママに叱られるのは確実ね。・・・・・パパからの手紙を見せてもらえなかったことを思い出すわ。」
「それは、別の理由からだと思うけどね。今なら案外見せてくれるかもよ?」
「え?そうなの?」

小さな頃、フレッドの養子先での様子を知りたくて、ベルンハルト家から届く母親宛の手紙を見せて欲しいと何度もねだったものだ。まだ、読み書きも満足にできない頃だったから、直接フレッドと手紙のやりとりも難しかったのだ。
母は簡単にフレッドの様子は教えてくれたが、読めなくてもいいから、書かれた様子が知りたくて、こっそり手紙を覗き見ようとしたら、ものすごい剣幕で叱られた。
―そんなに知りたいなら、直接手紙のやりとりをしなさい!―
そう言われて、一生懸命文字の読み書きに精を出したものだ。ちゃんとフレッドが読むことができるように。となるべく綺麗に見えるように練習した。

「うん。あの手紙はお父上の熱烈な恋文だからね。むしろ、お父上に直接訊いてみた方が、熱烈ぶりもわかっていいんじゃない?」
「・・・・・それは遠慮しておくわ。って、何であんたが知っているのよ?」
確かに、娘には度が過ぎた親馬鹿振りを見せてくれる父だが、さすがに、母への恋文を聞かせて欲しいとは恥ずかしくて言えない。母が隠していた理由を知ってミレーユは納得した。
どうしても見せてもらえなかった手紙。その内容を何故フレッドは知っているのだろうか。
「ああ、それは毎回お父上が朗読して、添削してくれって言われていたから。」
「・・・・・え?恋文を?」
思わずぎょっとして訊き直してしまった。

「うん。そうだよ。お父上もこっそりシジスモンまで通っていたんだけど。なかなかママに口をきいてもらえなかったみたいで。」
「そういえば、リヒャルトから聞いた事があるわ。雪像作りに毎年参加してたって。変質者と間違えたら三週間寝込んでいたって言っていたわね。」
「うん。そうなんだよ。ママも、毎回お父上を見つけるたびに、冷たい態度を取るものだからね。そのことに喜んだお父上はますます張り切って通っていたんだけど。その上、ミレーユにまでそんな態度を取られたものだから。さらに感激したらしくて、雪の中で数時間埋まっていたらしいんだよね。ついてきた護衛役の人が見つけた時は、大丈夫だったらしいんだけど。帰ってきてから、原因不明の高熱で寝込んでたらしいよ?」

「・・・・・パパってどういう人なの?」
あまりの有様に言葉を失ってしまう。
「うん?そのままの人だよ?きみも感動の再会から、一年が経ったんだから、そろそろ慣れてきただろう?最近は一緒にいられる時間もあるし。・・・ぼくらの誕生日にママと一緒にいた姿はちょっとびっくりしたけどね。」
ぱちりと片目を瞑ってにっこりと微笑む。

去年の誕生日は生まれて初めて、家族全員が揃ったのだった。
兄からの最高の誕生日プレゼント。
ドレスで着飾った母の姿を見て、父は食器を片っ端から割り続けて、早速叱られていたり。
白百合騎士団の筋肉に引き寄せられた母を父が泣きながら追いかけていったり。
そんな姿を祖父と兄と一緒に眺めて。
嬉しくて、楽しくて。浮かれていた。

「そういえば、あのナベ敷き・・・じゃなかった、ショールは無事にリヒャルトに渡せたの?」
「・・・なっ、ナベ敷きって!失礼な!・・・・・まあ、あんまりな出来だったから、全部ほどいちゃったわよ。」
さすがに、今肩にかけているショールと比べようもないことはわかってはいるけれど。
気持ちはすごく込めて編んでいた。初めての編み物に四苦八苦していた思い出と。
盗まれて間に合わなかったことも思い出して、
「今度はランスロットに盗まれることもないでしょうから!再挑戦する約束はリヒャルトにしてきたわ。去年のように、セシリアさまに教えていただけないけれど。アンジェリカが教えてくれるって言っていたから、大丈夫よね!」
ミレーユは拳を握って、改めて気合を入れなおす。
あの日。誕生日プレゼントにともらった『月の涙』。
あの頃はその意味を知らなかったけれど。再び贈られたその意味をもう自分は知っている。

「リヒャルトばっかりずるい。ぼくも欲しいなー。」
わざとらしく唇を尖らせて、フレッドがじとっとミレーユを見つめてきた。
「フレッドも去年はセシリアさまにショールをいただいたんでしょう?っていうか、白薔薇乙女から毎年山のようなショールが贈られてきていたのよね?一生かかっても使えないくらいたくさんあったじゃない。」
グリンヒルデの別邸の中を歩いていたら、ショールの間と説明された部屋が複数あったのを思い出した。不思議に思って、扉の隙間からのぞいてみたところ、黄色の毛玉に襲われるかと思った。

「セシリアさまに教えていただいた時に、一緒に編んでいたのは黄色の毛糸だったから、てっきりフレッドにあげるつもりだと思っていたんだけど。ひょっとしてもらえなかったの?」
意外に思って、訊いてみる。
「まさか。このぼくが一枚ももらえなかったなんて。この世の終わりでもそんなことありえないだろう?去年は妖精さんたちの間では、何か密約があったらしいけどね。」
残念そうな声音で話しているが、さすがにあの毛玉の中に自分の作品が埋まってしまうかと思うと作る方も残念だろう。

「じゃあ、セシリアさまのショールだけが届いたのね・・・・・。」
「というより、王宮に行ったついでに、ご挨拶してきたからね。リヒャルトをミレーユに下さってありがとうございますってね。」
「ど、どういう意味よ!」
「え?そのままだよ?あの時、リヒャルトに月の涙をもらっていただろう?思わずきみの頭の上で本当にあげるつもりなのか彼に確認しちゃったよ。」
にやりと笑ってフレッドが自分の耳元をつまむ。
「まあ、きみは当時気が付いてなかったみたいだけど。今ならわかるだろう?」
コクリとうなずく。あの頃から、大切に想っていてくれたのだと。

「セシリアさまは、リヒャルトとあたしが結婚することには賛成してくれているのかしら?」
「心配性だなあ。ミレーユは。お・ね・え・さ・まって書いてあったんだろう?」
フレッドはちょんとミレーユの鼻先をつつきながら、にっこりと微笑んだ。

琥珀色の光が回廊を満たす。
明るい満月の色は、そういえば、可愛い義妹の瞳の色と同じ色だということにミレーユは気が付いた。
・・・・・そして、兄が同じ琥珀色の飾り留めを彼女に贈っていたことをふと思い出した。
そういえば、兄と結婚する相手が自分の義姉になるのだと・・・・・。


~終わり~


最後までお付き合いくださりありがとうございました。

そして、相変わらずイロイロトスミマセンでした。
十五夜ということで。
フレリア・・・実はフレッドさんはまだリディエンヌ様に未練が残ってるといいかな?とか思っていたりするんですが。そして、気が付いたらセシリアがびっくりするほど綺麗になっているといいなと(笑)。
ミレーユの館・・・ミレーユの部屋は地下?どこ?ということで。見取り図が欲しいー。
おねえさま・・・ルーディが真っ先に思い浮かんでしまうという・・・orz。
スポンサーサイト

● COMMENT ●

sakura様

コメントありがとうございました!!
遅くなんてとんでもありません。いつもありがとうございます。

> 殿下が軽く嫉妬するのも分かります。
(笑)。嫉妬する殿下もかわいいですけどね(笑)。

お揃いの物・・・どうなのかな?とは思いますが(笑)。形に残らない贈り物はお互いたくさんありますが、形になっているものって「月の涙」だけですよね?新刊のあの刺繍は贈り物なのかしら?と妄想が(笑)。

> 色々と短編で良いので読みたいです!
> まあ、きっと叶わないから、皆さん二次創作で妄想を埋めてるんですよね(笑)。
激しく同感です(笑)。

> 流石、「シロバラオトメデス!」(笑)!
ありがとうございます(笑)。「挑戦」の感想を書こうと読み返していたらこんな有様になりました(笑)。

新刊本当に楽しみです!!
最後までお付き合い下さりありがとうございました。

今作のテーマは「家族」!

こんばんは。
コメントが遅くなりました!

前作の続きということで、フレッドの顔が見たくなったミレーユが可愛いです!
何だかんだ言って、ミレーユとフレッドは相思相愛だと思います。
殿下が軽く嫉妬するのも分かります。
そして、確かに殿下とお揃いの物ってミレーユは持っていないのですよね。
原作でも、そういうことを気にするミレーユの話があったら可愛いのにと思いました。
色々と短編で良いので読みたいです!
まあ、きっと叶わないから、皆さん二次創作で妄想を埋めてるんですよね(笑)。
moaさまのフレッドが輝いていて、素敵でした。
流石、「シロバラオトメデス!」(笑)!

いよいよ今週は新刊が発売されますね!本当に楽しみです!


管理者にだけ表示を許可する

フェアー «  | BLOG TOP |  » 表紙が!!

プロフィール

moa

Author:moa
水瓶座  AB型
いくつになっても
  乙女心は必携です。
【みがはくは身代わり伯爵の略?】

クリックで救える命がある。

クリックで救える命がある。

継続は力なり。 ちりも積もれば。

むらっくくん

博物館・美術館、図書館、文書館、公民館の被災・救援情報

無力ですがせめて応援だけでも。

FC2カウンター

カテゴリ

はじめまして (1)
日々の徒然 (106)
みがはく (222)
みがはく感想記事一覧 (1)
雨が上がると (34)
記事一覧 (1)
読後の感想 (91)
感想記事一覧 (1)
コミックス (13)
トラックバックテーマ (6)
未分類 (4)
ファイルアップ (0)

最新記事

竜退治と世界征服への野望

いつもお世話になっております。

最新コメント

mail

何かありましたらお気軽にどうぞ。 素早い行動はできませんが(汗)。

検索フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。