2017-08

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雨が上がると 12 - 2010.11.11 Thu

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
叔父と妹と弟です。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。







『秘密の花園』


「あ、この音色は・・・・・。」
園庭を歩いていたジェラルドはどこからかバイオリンの音が響いているのを聞いた。

「エルミアーナさま。素敵な音がきこえてきますよ。」
「まあ、ほんとうに。なんて美しい音色でしょうね。」
隣を歩いていたエルミアーナがおっとりと答える。

暖かな日射しが降り注ぐ庭には、色とりどりの花が咲きこぼれている。
ジェラルドは早朝の散歩─本人にとっては宮殿内での冒険といいたいところだ─で見つけたとっておきの場所をエルミアーナに案内していたところであった。本当は二人きりで散策をしたいところであったが、少し離れたところに大公殿下自らが付けてくれた護衛の騎士は控えている。

憧れの大公殿下が自分を心配して手配してもらったことだし・・・・・大分年上の、大公殿下大好き同盟を結んでいる将来の妃殿下もいつも護衛をつけていることだから。といちいち護衛の騎士に報告しなければいけなくなったことに文句を付けたいとは思わなかった。

(お母さまとは全然雰囲気は違うけれど。エルミアーナさまはとっても素敵な女性・・・・・。)
うっとりとその優しげな顔を見つめていると、
「あら?この曲は・・・・・。」
人差し指を頤に当てて軽く小首をかしげる仕草は年下の自分から見てもとても可愛らしいと思う。
「・・・・・ジェラルドさまはこの曲をご存知ですか?」
流れてくるバイオリンの音色を聴いたエルミアーナはにっこりと微笑んでジェラルドに質問してきた。

「いえ。知りません。エルミアーナさまはごぞんじですか?」
とろけるような笑顔を向けられて頬が少し赤くなっている気がする。けれども、その質問の答えは知らなかった。
「そうですか。実はわたくしも名前を知らないのです。ずっと小さな頃に聴いたことがある気がして・・・。」
音色が流れてくる方へと顔を向けて、じっと何か考え込むような顔をしている。
ジェラルドもつられてそちらの方へと視線を向けるが、聴いた事のない曲だ。

バイオリンというと、最近一人の楽士と知り合ったが、そういえば、この頃見ていない。一人きりで遊んでいるところに現れて、一緒にお話をしてくれた優しい人であったが、そういえばどうしているのだろうか?
「・・・・・まだ、続くようですし。近くまで行ってみましょうか?」
にっこりと・・・いいことを思いついた。という風に笑ったエルミアーナの笑顔にジェラルドはコクリとうなずいた。

「・・・・・あの方ですわね。」
ゆっくりと音の流れてくる方角を確認しながら、歩みを進めると、咲きこぼれる花園の中にひっそりと建てられている四阿で演奏をしている人影を見ることができた。
「あ・・・・・・。あの人。」
思わずこぼれたつぶやきに、エルミアーナが不思議そうな顔をする。

「・・・ジェラルドさまのお知り合いの方ですか?」
「えーと。知っている方というか、時々一緒にあそんでもらいました。この頃はお見かけしていませんでしたが、バイオリンをえんそうされているのも初めてみました。・・・・・でも。」
四阿をぐるりとまわって、演奏している人物に近づくにつれて、以前とはちがっている彼の様子が目に入ってきた。
「・・・・・あしがおわるいのでしょうか?」
服の上からでもわかるほど明らかに不自然に膨らんだ片方の脚が痛々しい。ベンチの上には、杖のようなものも置いてある。
と、じっと立ち止まって、自分を凝視している二人組みに気が付いたのだろう。話題の人物は、二人を認めると、目を瞠って演奏を中断した。

「えんそうのおじゃまをしてすみません。」
演奏が突然中断したことに気が付いて、思わず謝ったジェラルドに向けて彼は首を振る。
黒髪に鳶色の瞳が優しく微笑む。
「気にしないでください。今日はお連れさまがご一緒ですね。」
バイオリンを肩から下ろすと、ジェラルドの隣に立つエルミアーナの方に視線を向けた。

「はじめまして。・・・・・素敵な演奏でしたわ。以前どこかで聴いたことがあると思うのですが、名前が思い出せませんの・・・・・。何という曲ですの?」
エルミアーナの言葉に、彼は一瞬、はっとしたように目を見開いた。
「以前・・・聴いたことがあるのですか?」
探るような視線でエルミアーナをじっと見つめる。

「ええ、以前に聴いたことがありますの。随分と前になりますけれど。」
にっこりと微笑んで小首を傾げる様子はいつものエルミアーナと変わらない。けれども、なぜか二人とも緊張しているような気がして、ジェラルドは不思議に思った。
「・・・そうですか。実は私が作った曲なんです。・・・・・『月薔薇草』といいます。」
と彼は柔らかく微笑んでそう答えた。

「まあ、月薔薇草!素敵ですわね!」
その名前を聞いたエルミアーナは両手を胸の前で組んで、ほんのりと頬を染めている。
憧れの女性のその様子にびっくりして、ジェラルドは思わず、
「つ、ツキバラソウって何ですか?」
と大声で質問していた。

「月薔薇草というのは、愛の告白をするときに贈る花ですわ。”あなたに心を捧げます”という花言葉がありますの。いつか、わたくしも贈られたいと思っています・・・・・。」
夢見るようにうっとりとつぶやくエルミアーナはジェラルドに説明しながら、自分の世界に入ってしまったようだ。

「まあ、そういうことですよ。」
苦笑交じりの笑顔をジェラルドに向けると、
「残念ながら、気持ちが届かなくて、自分の未熟さを思い知ったばかりなんですけどね。」
と肩をすくめてつぶやいた。

「え?届かなかったんですの?とても美しい音色でしたのに・・・・・。」
我に返ったエルミアーナの言葉に、彼はぐっと詰まったような顔をして、
「はい。残念ながら・・・・・。」
と膝の上に置かれたバイオリンに視線を落とした。

その様子がひどくがっくりとしたようにみえて、ジェラルドはとてもかなしくなった。
「・・・・・そんなにがっかりしないでください。とってもきれいな曲でした!!あなたがっ・・・・・。」
元気づけようとして、ジェラルドは、彼の名を知らないことに思い当たった。
「そういえば、あなたの名前をぼく知らないです・・・・・。ぼくのなまえはっ」
「キリルと申します。・・・・・大公家の方が気軽に身分を明かしてはいけませんよ。」
ジェラルドの言葉を遮るように名乗ると、キリルは口の前に人差し指を当てながら、苦笑した。

「まあ。では、この曲を贈られた方に今度は結婚のお祝いの曲を作曲されるのですね?」
キリルの恋は失恋に終わってしまったが、その恋敵も立派な人だから。と説明されて、ジェラルドは納得したようなしないような気分になったが、エルミアーナはその気持ちがよくわかるようだった。
「はい。私の音楽の師匠も失恋したときに名曲ができると言っていましたし・・・・・。」
ははは。と遠い目をしたキリルがやっぱり可哀相に見えたけれど、それが大人になることなのかもしれない。
「それでは、作曲のおじゃまをしてはいけませんので、そろそろわたくし達も・・・・・。」
優しく微笑んだエルミアーナに促されて、ジェラルドも園庭の方に足を向ける。

「また、こちらにくれば会えますか?」
ジェラルドが名残惜しそうにキリルに訊ねると、
「はい。とりあえずこのけがが治るまでは遠くには動けませんので。」
柔らかな微笑が返ってきた。
「そういえば、そのけがは・・・・・?」
「名誉の負傷ですよ。ちょっと恰好悪いですけどね。」
ジェラルドにはその顔がとてもまぶしく見えた。隣に並んで一緒にキリルを見つめるエルミアーナの顔はそれ以上にまぶしい笑顔に見えたのは気のせいではないだろう。

~終わり~

最後までお付き合いくださりありがとうございました。
ほのぼの三人・・・・・。
エルとキリルは会えば正体が知れるのかな・・・・・?と思いつつ。
ジェラルドには名前も教えてないみたいですが。けがの療養中に知れるのかな?とか思いつつ。
イロイロと失礼しました。
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● COMMENT ●

sakura様

コメントありがとうございました!
キリルが殿下とミレが好きならジェラルドもキリルとエルが好きだよね。と思い(笑)。
母同士にも対立があったようなので、兄弟同士が会っていたかは謎ですよね。

ジェラルド・・・傀儡にしたい駒なのであんまり英才教育とか受けていなかったのかな?とか思いつつ。アリスママに教育されていたのでそちらは強いのかなー?でも、フレッドに嫉妬している姿は可愛いよね?とか(笑)。
ミレーユとの同盟はひたすら可愛いです(笑)。それを見る殿下は父親気分を味わえるんでしょうか(笑)。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

可愛いです!

こんばんは。

小さな叔父と異母兄妹の邂逅話、ほのぼのしていてとても素敵でした!
意外な三人の共演で驚きました。
キリルとエルミアーナは異母兄弟ですが、八年前の事件が起こる前に会っていたのかが謎ですよね。

エルミアーナを慕うジェラルドが、本当に可愛いです!
「リヒャルト大好き同盟」を結んでいるミレーユとジェラルドが仲良く遊ぶ話も、きっと可愛いんだろうなと妄想が止まりません(笑)。
小さい頃の殿下にそっくりだと想像すると、微妙に不思議な光景かもしれません。

今回も素敵で可愛いお話を、ありがとうございました!


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