2017-08

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雨が上がると 16 - 2011.02.14 Mon

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
めずらしく主役の二人です。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。
バレンタインだし。と思ったのですが、いつもの調子で無駄に長くなりました。







『甘くて苦い』


「おかえりなさい。あなた。お風呂にする?ごはんにする?それともあ・た・し?」
初夏の心地よい風が吹く夕暮れに、ミレーユの部屋を訪れたリヒャルトは、いつもの新妻の出迎えに微笑んだ。
「じゃあ、今日はお風呂にしてみましょうか?」

「・・・!え!ほんと!?」
驚きとともに、喜色満面といった顔で見つめてくる許嫁をゆっくりと抱き寄せる。
「ええ。今日は、このあと晩餐会があるので、ごはんというわけにはいかないんですよ。あなたにすると、時間を忘れてしまうから・・・。」
耳元で囁かれる相変わらずの天然な台詞に、質問したミレーユの方が赤面する。

抱き寄せられたまま、びきっと固まった様子に気がついたのか、リヒャルトが吐息だけで笑うと、
「・・・・・じゃ、じゃあ、今日はお風呂ね!早速準備にかかるわ!」
慌てたように、リヒャルトの腕から逃れると、そばに控えていたアンジェリカとロジオンに準備をお願いする。
「リヒャルトはこっちね。」
そういって、リヒャルトの手を取って、長椅子の方へと案内する。

「最近は少し暑くなってきたでしょう?あたしが汗を拭くの。そして、着替えよ!着替えのお手伝いも新妻の役目でしょう?」
嬉しそうに迫る許嫁に、否とも言えず。
「どちらかというと、侍従の役目ですけどね。ミレーユがやりたいというなら止めない事にしますが・・・・・。でも、上着だけですよ?」
すぐさま舅の顔が浮かんで一言付け加える。
「も、もももも、もちろんよ!?・・・・・あれ、でも・・・それともやっぱりお背中を流すまでやったほうが・・・・・。」
動揺したように答えながら、ミレーユはどこからともなく、いつもの虎の巻を取り出している。
確認を始めた途端にさらにリヒャルトにとってはこの上ない危険な項目をつぶやき始める。

「・・・今日は残念ながら、時間がないので、上着だけでお願いします。」
さして暑くもないのに、汗が流れているような気がした。リヒャルトはできるだけさりげない風を装い、虎の巻を閉じさせ、自分の方へと顔を向けさせる。
「・・・・そ、そうね。大事なお仕事が控えているものね・・・・・。忙しいのにいつも会いに来てくれてありがとう。」
少し残念そうな顔に素直に誘惑に駆られたい気がしたが。そのあとの優しい微笑で満足することにする。

「ミレーユさま、こちらになりますわ。お熱いのでお気をつけてくださいませね。」
清潔な手巾とお湯を張った桶。そして、着替え一式を用意すると、ロジオンがあっという間に、アンジェリカを抱えて次の間へと移動する。
もう見慣れてしまったのか、ミレーユも──ありがとう──と言って、そのまま二人を見送った。
「さて、と。それじゃあ、お湯が温かいうちに、始めましょうか?」
にっこりとミレーユが腕まくりの真似をして微笑む。
「この襟飾りから外していけばいいのよね?」

「・・・・・自分でやれますよ。」
そういって、襟元に伸ばされた手を取って、
「・・・本来なら侍従の役目ですよ?」
往生際が悪いなと思いつつ、苦笑しながらつぶやいてみる。
「そうなのよね。確かに、自分一人じゃ着られないから仕方ないんだけれど。宮廷が赤字だって言うのに、そんなところで出費がかさんでもいけないと思うのよ。」
力強い眼差しでこちらを見つめる。
「だから、あたしがリヒャルトの分だけでも覚えて、少しでも他の人が他の仕事をできるようにしたほうがいいと思ったの。アンジェリカたちに相談したら、ロジオンはあっさりとうなずいてくれたわ。でも・・・。」
軽く小首をかしげる。
「アンジェリカは観察か生きがいかってぶつぶつ言っていたけれどなんだったのかしらね?よくわからなかったけれど・・・・・無駄遣いは少しでも無くしたほうがいいと思うのよね!!」
元商人の血が騒ぐのか、不満そうに頬を膨らます。

「すみません。甲斐性がなくて・・・・・。」
婚約者に赤字の心配をされる国主というのも情けない。
「え!?そういうことじゃないわ。リヒャルトなんて、最近帰ってきたばっかりなのに。関係ないような借金抱えて大変だなんて、ちょっと納得できないのよね。もちろん、あたしは見捨てないわよ?あなたと一緒にちゃんと返していくから大丈夫よ!!」
拳を握って、力説する許嫁に返す言葉を見つけることができず、沈黙する。
「・・・やっぱりだめかしら?掃除とか力仕事とか、そっちの方であたしにできることを見つけたほうがいいかしら・・・・・?」
躊躇いがちに顔を覗き込んで来るミレーユの瞳が心なしかキラキラとしているのは気のせいではないだろう。
自分の為に、全力で困難に立ち向かおうとする姿勢にいつも勇気付けられる。
下町育ちのたくましさをいかんなく発揮してくれるのは嬉しいのだが・・・・・。

「俺のためにありがとうございます。でも、あなたの仕事もたくさんあるので、それ以上頑張って、無理をしないで欲しいんです。」
握られた拳にそっと手を添える。ゆるんだミレーユの拳を広げて指を絡める。
「・・・・・それに、あなたの指の寸法が変わると、今までの装飾品をまた造り直さないといけなくなるので、できればそのままでいて欲しいのですが。」
もう片方の手を引き寄せて軽く口づけると、はっとしたようにミレーユは目を見開いた。

「・・・・・っ!!ごめんなさいっ。そこまで考えていなかったわ!」
はっと口を押さえながら、
「そうよね。高価な装飾品は造り直すのも高度な技術が必要だってドルーシラさまに教わったばかりだったわ!・・・・・もっと勉強が必要だってことね!」
自らの勉強と言う単語が効いたのか、がっくりとうなだれる様子にリヒャルトも苦笑を禁じえない。
「でも、最初の頃にくらべたら勉強の成果もあがってきているのではありませんか?」
励ますように微笑むと、
「そうかしら?ラウール先輩は相変わらずよ?クライド夫人に注意されることは少なくなった気がするけれど・・・。」
「少しずつでいいんですよ。本来なら何年もかけて準備されるものなんですから。」
少しばかり元気を取り戻してくれたようだ。修行の成果を実感として感じられているのだろうか。

「・・・・・そうね。とりあえず、今日の課題をこなさないと次に進めないわね!という訳だから、早速お風呂よ!着替えよ!」
「・・・・・本気なんですね・・・・・。」
彼女のことだから、斜め上にいってくれるのだろうけれど・・・・・。
期待と不安が入り混じり、チラつく舅の顔が複雑な気分にさせる。

「ええ、本気よ!せっかく、新妻の練習ができるんだから。リヒャルトも協力して!結婚してあたしが何にもできなかったら困るでしょう?」
憤慨したように、ふくれっ面を披露してくれる。
一番可愛い顔を、期せずして見ることができて幸いだったが、結婚前に練習をされても困るだけだ・・・・。といいたい台詞をぐっとこらえる。
先日、婚約期間も楽しもうと自分に言い聞かせたばかりだ。
まだ先の結婚式まで、耐えなければならないことを考えると、現時点で早々に音を上げるわけにはいかない。

「・・・・・むしろ、今のほうが困っていますが・・・・。それじゃあ、お願いできますか?」
「ええ、わかったわ!」
嬉しそうに、再び襟元に伸ばされた手をそのままに、気持ちを落ち着けるために目を閉じる。
一心不乱に目的を遂行している許嫁の緊張した気配が、時々触れる彼女の吐息にも感じられて、手を伸ばして抱きしめたい衝動を押さえ込む。

今週の解禁日はすでに終わっている。
来週までは大丈夫だと思っていた矢先に、とんでもない爆弾が待ち構えていた。
あと何週乗り切ったらいいのか。数えてみればすぐにもわかるが、ここはあえて数えない方が、身の為ではないだろうか。
それとも、敢えて数えた方が耐え切れるものだろうか?答えの出ない自問自答に我ながら呆れ果てる。

「リヒャルト・・・・。この傷あと・・・・・。」
煩悶するリヒャルトを我に返らせたのは、ミレーユの震えた一言だった。
それまで、新たな新妻練習ができることに目を閉じていても張り切っていた様子がうかがえていたが、目を開けた今、ぴたりと止まった手も震えている。

「・・・・・あぁっ。すみません。」
たった今、長椅子に置かれたシャツを慌てて羽織る。
「すっかり忘れていました。あなたには初めてのことでしたね・・・・・。」
泣きそうな顔をしてじっとこちらを見つめるミレーユ。
慌てて震える肩を抱き寄せて、長椅子へと座らせる。
「ううん。ごめんなさい。あたしすっかり忘れていたわ・・・・・。」
目には涙が浮かんでいる。すっかり忘れきっていた自分のうかつさを呪った。

「ごめんなさい。あたしをかばってできた傷なのに・・・・。」
「そんなに泣かないで。全然大丈夫ですよ。」
顔を覆っているミレーユの手をゆっくりとはずす。
涙を溜めたままの顔も可愛いと思ってしまう。そちらの方がむしろ重症だろう。
「だって・・・・・。あんなに血が出ていたのに。」
当時を思い出したのか、少し青ざめた顔の様子が痛々しい。

「ほら、今あなたも見たように、うっすらと白い痕が残っているだけです。俺もすっかり忘れていました。それに、他の傷痕の方がひどいくらいですよ?」
「・・・・・うん。肩口から背中にかけての傷・・・・・。」
再びあふれてくる涙に口づける。

「・・・!!リ、リヒャルト!」
ミレーユは驚いたあまり、涙も止まったようだ。
「泣かないで。じゃないとまだ続けてしまいますよ。」
「・・・ぐっ。」
気合で涙を止められるのも少々複雑な気持ちもするが。これ以上、彼女を泣かせる方がつらい。

「八年前の傷です。この傷が塞がるまでを思えば、大抵の事は平気なんですよ。」
俺はちゃんと笑えているだろうか。
ミレーユに出会うまでは盛大な作り笑いだった自信はあるが、ミレーユを目の前にすると自然な笑みになる。
そのことに彼女は気づかないだろうけど・・・。
「・・・リヒャルト。」
「むしろ、この傷は勲章なんですよ?ディートリヒの小刀があなたに届かなかったことを誇らしく思っているくらいなのに。あなたに傷がつかなかったことを喜んでいいでしょう?」
視線を合わせて微笑むと、
「・・・リヒャルト・・・。それでも、あなたに傷ついて欲しくないわ。」
白い傷痕をなぞるようにミレーユの指が腕を伝う。

「・・・・・消えないのかしら?」
見上げてくる瞳に彼女が自分を思う気持ちが見えて嬉しくなる。
「これくらいなら、消えていると言っても大丈夫ですよ。他の傷に紛れてわからない位でしょう?」
肌けたままの自分の姿を晒していいものか、迷う気持ちもあるが、今更手遅れだろう。

「・・・ええ。ものすごく細かい傷もあちこちにあるのだけれど。・・・・・どういうことなの?」
不思議そうに、身体のあちこちに付いた小さな傷を見つめる。
「・・・・・以前にも言ったことがありませんでしたか?狼の群れと戦ったことがあると。」
「・・・・・っ!!そういえばっ!ブリギッタの野獣のことかしら!!」
ミレーユははっとしたように顔をあげると、興味津々という表情に一変した。

「伝説の修行の旅ね!!いつか話してくれるっていっていたけれど。まだ聞いてないわ!いつになったら教えてくれるの!?」
いつの間にか、シャツの襟元をぐいぐいと締め上げる体勢になっている。
「・・・苦しいです。ミレーユ。」
あまりの締め上げぶりに、そっと襟元の手をはずす。
「・・・は!!ご、ごめんなさい。つい興味の赴くままに・・・・・。」
慌てて手を下ろしたが、その表情に好奇心がありありと浮かんでいるのを見て苦笑する。

「すみません。いつか話すと言っていましたね。そんなに大したことではないんですが、今回も時間切れのようです。」
居間から次の間へと続く扉がノックされる。
「失礼いたします。お風呂と着替えはお済みになりましたか?」
アンジェリカがにっこりと微笑んで扉を開ける。
「あら?まだ途中でしたかしら?どういたしましょうか?」
二人の様子を見つめて、アンジェリカが傍にいるロジオンと目を合わせる。
「ああ、もう時間が迫っているだろう。・・・残念ですが、着替えて行かなくてはなりません。アンと一緒に手伝ってもらえますか?」

「・・・それじゃあ、今日は少し遅くなるので、先に寝ていてくださいね。」
ミレーユの手をとってその甲に口づける。
「ええ。お仕事頑張ってね。」
ぎゅっとミレーユはリヒャルトに抱きつくと、
「いってらっしゃい。」
にっこりと微笑んだ。

「ああ、そういえば忘れていました。一緒に食べようと思って。ミレーユ、口をあけて。」
どこからともなく、リヒャルトの手に小さなお菓子・・・チョコレートのようなものがつままれている。
「え?チョコレート?・・・。おいしい!」
「城下で話題のお店の品だそうです。何種類かあるらしいのですが。」
そういって、リヒャルトの手のひらに小さな包みがもう一つ載せられている。
「じゃあ、リヒャルトも・・・口をあけて。」
包みをすばやく解くと、ミレーユの手が届くようにと、少しかがんだリヒャルトの口にチョコレートをいれる。
「一緒に食べたことになるかしら?」
にっこりと笑ったミレーユにうなずいて、リヒャルトも微笑む。

扉の先。
廊下の向こう側で待っていた団長にそっと小瓶を差し出す副長の姿は二人には全く見えることはなかった。

~終わり~

イロイロトスミマセンデシタ。

ええ、修行の旅が知りたいんですよ(笑)。
花婿修行編は初夏なので。チョコレートは溶けそうだ。と思いつつも。
このタイミングでしか自分的に冒頭の台詞は使えなさそうだったのでした。
アマクナクテスミマセン。

2011.2.15
チョコレートって高級よね。ということでチェック忘れてました。→チョコレートの歴史
城下とか書いてしまいましたが、公都か・・・。
ミレーユのおやつは宮廷料理長とかがちゃんと作っているんでしょうか?
ミレーユとすごく仲良しにもなっていそう。とか。
傷痕も白いのか赤いのか・・・。
ルーディの秘薬とかロジオンが持ち歩いているかな?とか思ったり。
だらだらと・・・それでは。
最後までお付き合いありがとうございました。

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