2017-10

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雨が上がると 17 - 2011.04.20 Wed

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
めずらしく主役の二人です。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。
といつもの形ですが。
今回は 夢のあとsakura様に捧げます。







『桜の木の下で』


「ねえ、何だかとってもいい香りね。」
若葉の香りに隣に腰を下ろしていた許嫁はそういって上のほうを見上げた。
日射しにきらめく若葉は緑を濃くし、木陰にいたほうが涼しい気候へと季節は変わってきた。
「もう少し早い時期には、とってもきれいな薄紅色の花を咲かせていたわよね?」
「よく知っていますね。」
微笑んで答えると、少し照れたように頬を染めて、うつむき加減になる。

「だって、勉強ばっかりしていると、窓の外が気になって・・・・・。」
「そうですね。ここはあなたが勉強している部屋からはよく見える場所ですね。」
窓の外をうらやましげに眺める彼女の姿を想像して、くすくすと笑いながら答えると、
「・・・・・もう、そんなに笑うことないでしょう?そりゃあ、リヒャルトはとっても勉強家で読書家で頭もいいから、勉強中に窓の外を眺めるなんてことはないだろうけど!」
ぷうっと頬を膨らませて顔を上げる。
可愛らしい顔は先ほど口にした薄紅色の花の色に染まって・・・・・。
思わずその頬に手を伸ばしてじっと見つめる。

「・・・・・リ、リヒャルト?あの、そんなに近づかれると・・・こ、困るんだけど。」
鼻先が触れそうなほど顔を近づけても、目を見開くばかりで、こちらの意図を汲んでいる様子はない。
「そうですか?可憐な花の香りを知りたくなったんですが。」
「・・・か、可憐な花の香りって・・・どこからするの?そんな香り?それに、周りに護衛をしてくれている騎士の人がいるのよ?」
そう言いながら、じりじりとうしろに後ずさっていく様子はさらに可愛らしいことに気付いているのだろうか?ミレーユさえいれば他の人間など目に入らない事にいつになったら気付いてくれるのだろう。
頬に伸ばしていた手が宙に浮いたままであったので、そのまま下ろして、彼女の手を引き寄せる。

「そ、それに、花の香りがするのはリヒャルトじゃない!」
軽く握った手はそのままにしてくれるらしい。
先程よりさらに紅く染まった顔で、抗議する姿も愛らしいことこの上ない。
自らが発する香りに気付かないのは仕方のないことかもしれないが、本人の与り知らぬところでその香りに酔わされている何人かを知っている身としては多少自覚して欲しいと思ってもいいだろう。

「・・・俺が花の香り・・・?ああ、酔い止めの匂いですね。」
「そうよ。ロジオンに聞いたけれど、ルーディが作っているのね。知らなかったわ。」
胸のポケットのあたりに視線を移して、興味深い顔で答える。

「見たいんですか?」
小瓶を取り出して掲げてみせると、
「見たいというか・・・・・。この前あまり薬が効いていないと言っていたことを思い出しただけなんだけど。」

「ああ、あの交流会の夜ですね。そうですね。あの時はあなたが足りない禁断症状で、体調がいつもと違ったのかな?ルーディも時々配合を変えたりしているみたいですから、そのせいもあったのかもしれませんね。」
離宮の空中庭園でのお忍びは散々なことになった。誤解は解けたが、公式の婚約者ではない今の状態はこの婚姻に反対するものにとっては付け入る絶好の機会だろう。
政略的にも心情的にも彼女しかいないことを理解しているものがどれほどいるのだろうか。

「リヒャルト?大丈夫?急に難しい顔になったけれど。あなたがお酒に弱いからって、あたしは全然平気よ?」
急に口をつぐんで考え込んでいたのを誤解したのだろう。心配そうな顔をして覗き込んでくる。
「大丈夫ですよ。それより本当ですか?俺が酒に弱くても・・・・・。」
酔い止め薬を取り上げられて、酔わされたあとは思い出したくない事実ではある。

知らず落ち込んだ顔になっていたのだろう。
ミレーユは今度は焦ったように軽く握っていた手を両手でしっかりと握り直すと、
「大丈夫よ!お酒に酔っ払ったリヒャルトは是非見てみたい気がするけれど・・・ロジオンも教えてくれないなんて、相当よね?これから見られる機会が訪れるかもしれないし・・・でも、この前の夜みたいに妙に色気が増したリヒャルトは、あたしの方が困ってしまうわね・・・やっぱり、酔い止め薬が効いているリヒャルトの方が安心だわ・・・。だ、大丈夫よ!ルーディにちゃんと酔い止め薬が効くように言っておくし!それに、今度からあたしが薬草茶係になるんだもの!何か効果抜群なお茶があるのかもしれないわ!!・・・だから、安心してお酒に弱くていいのよ?」

本音が唇から零れ落ちていることに気付いているのかいないのか、最後は躊躇うような眼差しで問いかけてきた。
「・・・それは楽しみですね。ミレーユの薬草研究の成果を期待しています。それに、俺も少しは薬草について調べたことがあったので、あなたの役に立てるかもしれませんよ。一緒に勉強できますね。」
握られた手を両手でしっかり握り返してそう答えると、
「・・・・・リヒャルトって本当に勉強家よね。すごく楽しそうだわ・・・・・。」
ミレーユは視線をあらぬ方向へと泳がせた。

勉強会への誘いは失敗だったらしい。笑顔が引きつっている。
しかし、そんな顔も可愛いと思えてしまうから・・・・・。

「・・・・・そういえば、今日のドレスの色は薄紅色なんですね。こちらに咲いていた花は散ってしまいましたが・・・・・あなたが花そのものですね。」
フレッドが見立てたドレスはさすがに彼女に似合うもの、彼女の美しさを引き立てるものばかりだ。
偶然なのか、合わせた物なのか、木陰に座る彼女の姿は花びらをまとった様だ。

「は、花って・・・相変わらず心臓に悪いことをさらっと言うんだから・・・・・。え、ええ、そうなのよ!あなたと会うのがこの木陰だって聞いたフレッドがじゃあ、このドレスだ!って選んでくれたの。・・・代わりにぼくが着て一緒に行ってもいいんだけど?って笑っていたけど・・・・・。」
頬を染めながら言い始めたものの、フレッドのことを思い出したのか、むっとした顔になる。

ころころと変わる彼女の表情は飽きることがない。
そして、フレッドの言うように、どんな顔をしていても可愛いということに異存はない。
「フレッドじゃなくてあなたがいいです。」
重ねた両手を指を絡めるようにして握りなおす。

「それに、この花の樹は伝説があるそうですよ。」
「・・・伝説?」
「はい。この樹は極東の島国が原産なんですが、繁栄をつかさどる女神の化身だそうです。」
「・・・・・繁栄を表す女神さま・・・本当に満開のときが素晴らしかったものね。」
花の時期を思い出してうっとりとする様子はまさに女神のようだと・・・・・。

「来年は一緒に満開の花を見ることができるかしら?」
にっこりと微笑む許嫁の姿に、
「もちろんです。この花が咲く頃にはミレーユ姫ではなくて、正式な妃殿下になっていると信じていますよ。」
そういって、手の甲に軽く口づける。
再び薄紅色に染まった許嫁に、縁結びや子孫繁栄のご利益があるということはまだ胸にしまっておいた方が良さそうだ。

***

「・・・・・あの二人って、この窓から丸見えだって知っているんですかね?」
アレックスが呆れたようにそばにいるラウールに話しかける。
「課題に向かっている間も、物欲しそうに窓の外を眺めていたんだから知っているだろう。今思い出せるかは保障しかねるがな。」
「東方の神話で子宝祈願にご利益があるって知っているのかな?」
「兄君が嬉しそうに大公殿下にお伝えしていたのは耳にしたがな。あの葉でお菓子をくるむという話もしていたぞ。そちらの方がミシェルにとっては魅力的だろう。そもそもそのことを知っているものは少ないだろうが、こんな公衆の面前でいちゃつくことで仲の良さを喧伝して縁談避けもはかっているのだろう。」
仕事の手を全く休めることなく、あっさりと言い放ったラウールを横目に、
「そうですかー。まあ、仲がよくて困ることはないからいいんでしょうかね。単に目のやり場に周りは困りますけどね。話している内容がお菓子なら、納得ですよ。」
少し溜息をつきながら、積まれた書類を片付けにかかる。
「気にしなければいいことだ。というか、そうでも思わなければ傍付きなどやれんだろう。」
「まあ、そうですね。」

きらめく日差しの中、木陰で休む許嫁たちを見守る人々はここかしこにいたのであった。

~終わり~

葉桜の季節になりましたね。
ということで。

冒頭の理由は。
夢のあと sakura様のお誕生日記念に送りつけたものです。
・・・sakura様といえばリヒミレ。
冬にもかかわらず桜をテーマにかくという・・・・・。
そして、公開してみてはというお言葉に調子に乗りました。
さすがに季節柄今の時期でということなのでした。

いつもとは書く動機が違うのですが、いつもと変わらないですね・・・。
目指しているところはニヤリとかクスリとかなんですが、少しでもその辺りに響けば幸いです。
女神様→コノハナサクヤビメ

「身代わり伯爵」シリーズを通じて、お会いしたことはないのですが、楽しくお話させていただいています。
人でも、本でも、出会いは何がきっかけかわからないとしみじみ思っています。
日々少しでも幸せな出会いが増えますようにと祈るばかりです。

そして、作品を生み出す先生方、関係者の方々に敬意と感謝を。
いつものペースだと新刊は6月辺りかと思っていますが。いかがなんでしょうね。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

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● COMMENT ●

sakura様

コメントありがとうございます!

こちらこそ、これ幸いとばかりに書いて送りつけてしまいました。
その節は失礼いたしました(苦笑)。

色っぽく・・・ありがとうございます。殿下の天然魔性な台詞は楽しいですよね(笑)。何でも言ってくれそうです(笑)。子孫繁栄は跡取り男子は意識せざるをえないかと(笑)。世襲は大変ですね(苦笑)。
団長との酔っぱらい殿下も是非読んでみたいのでした(笑)。

紹介・・・恐れ多いですが・・・。そして需要はあるのか(笑)。
自慢になるかどうかわかりませんが(苦笑)。こちらこそよろしくお願いいたします。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

素敵なお話でした!

こんばんは。
メールをありがとうございました。
改めて、こちらで拝読させて頂きました。
大好きな桜とリヒミレがセットになった素敵なお話でした。(*^_^*)
物凄く嬉しいです!
ありがとうございました。
ミレーユは相変わらず可愛いですし、下手するとミレーユより色っぽい殿下にまたときめかせて頂きました。
お酒も飲んでいないのに殿下がやたらと色っぽく感じるのは、恋をしているからでしょうか(笑)。
桜の下でしっかりと縁結びと子孫繁栄を意識している殿下には、ニヤリとさせて頂きました。
やっぱり、リヒミレカップルは最強です!

moaさまにお願いがあります。
こちらのお話を、私のブログ記事からリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか。
是非、ご紹介(自慢)させて下さい!
よろしくお願いします。


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