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雨が上がると 18 - 2011.05.18 Wed

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
双子と唯一見分けられる人です。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。







『手の届く距離に』



「・・・何かいい匂いがするわ。」
ミレーユはその可愛らしい鼻をくんくんとひくつかせた。
初夏の装いに何がふさわしいかと、フレッドと共に衣裳部屋で二人はドレスを吟味していたはずであった。

***

「ほら、これなんかぴったりだよ。若草色の初々しい色合いは、ぼくの肌をより引き立ててくれているよ。あ、もう少し鏡は向こうにね。」
フレッドは手の込んだ刺繍の施された若草色のドレスをまとって、鏡の前でしなやかにポーズを決めながら、うっとりと見つめている。
「あ、こっちね。・・・よく似合っているわよ。って、あんたの美しさを引き立ててどうすんのよ!しかも、なんであたしがうさぎの着ぐるみを着なくちゃいけないのよ!」
ふわふわでもこもこのうさぎの着ぐるみ姿でいるミレーユはフレッドの指示通りに鏡を動かしながら、不満げに声を上げた。

「なんでだって?そりゃあ、リヒャルトがうさぎの着ぐるみ姿を見た時に、なんて可愛いんだろうと思ったんだよ。っていう感想をぼくが伝えたらいそいそと着始めたのはきみじゃないか。」
「だ、だって・・・。」
「・・・リヒャルトはいつも君のドレス姿を褒めてくれるんだろう?」
清純な乙女そのものといった兄の表情とその姿はどうしても自分には身についていないと、ミレーユは更に不満が募る。

「そ、そりゃあ、そうだけど・・・。でも、綺麗だとか可愛いだとかいつも言ってくれるけど、リヒャルトは優しいから、似合っていなくてもそう言ってくれるのよ!フレッドに可愛かったって言うくらいなら、よっぽど印象に残ってくれた可愛さだったのかしら?って思ったから・・・・。」
もじもじと照れている姿を満足気に見つめながら、フレッドは続ける。ミレーユのこうした仕草はお父上によく似ている。母と自分とは似ているところがあるのだろうか?・・・切り替えの早さか?

「そりゃあ、ぼくそっくりなんだから、何を着ても、可愛いとか綺麗だとか妖精のようだとか小鳥のようだとか女神のようだとか天使のようだとか言葉で表せないだとか、世界中の美辞麗句を並べたって足りないくらいに決まっているじゃないか。」
「あんたのその自信はどこから来るのよ・・・。」
断言する兄の言葉に、呆れたように返事をする。以前より自分を賞賛する言葉に事欠かない様子は慣れているものの、同じ顔をした双子の片割れには同じ言葉で賞賛されても実感がわかない。

「自信じゃないよ。真実だろう?でも、その柔らかな部分に触れてみたい。だとか抱きしめたらあたたかそうで離せなくなりそうだ。とかリヒャルトが言うのはきみにだけなんだから、ミレーユこそもっと自信を持てばいいのに。」
フレッドはにやりと意地悪な笑いを浮かべながら、どこかで聞いた台詞を告げる。

「・・・だ、だからそれはうさぎの着ぐるみの感想でしょう?それにリヒャルトはいつも大げさな言い方するし・・・・・。ほら、こんなに柔らかい体毛なのよ。それに、今はちょっと暑くなってきたけれど、このふわっふわに包まれたら、そりゃあー暖かいわよ!あたしだって、寒い夜はこのまま抱き枕にしたいと思っているわよ!」
一体いつの間に知られているのだろう。
周りの人間を気にせずに天然発言を繰り返す所行はやはりこうした形で返ってくるのだろうか。
言っている本人には動揺のかけらすら見当たらないが、なぜ当人以外からも同じ台詞を聞かされて動揺しなければならないのだろう。いつか動揺させてみたいと負けず嫌いの精神がむくむくと湧き上がってくる。
そんなミレーユが頬を膨らませて、くやしそうに主張する様子が一番可愛いと思っているのは親友同士の共通の認識である。

「・・・は!そういえば、リヒャルトはあんまり眠れない体質だったわね。虎や熊の着ぐるみは目が覚めたときには怖いから、うさぎなら大丈夫かしら!ねえ、フレッド!このままリヒャルトに貸してあげたらどうかしら!」
素晴らしい思い付きだとばかりに、満面の笑みを浮かべて顔をあげたミレーユはその視線の先に、話題の主が現れている事に気がついた。

「・・・何を貸してくれるんですか?ミレーユ。」
久しぶりの優しい声と笑顔についうっとりとしてしまいそうになったが、慌てて、気を引き締める。睡眠不足の旦那様に安眠を促すのも妻としては大切な役目だ。
「あなたがあまり眠れないなら、このうさぎの着ぐるみを抱き枕にしてみたらどうかってフレッドと話していたの!」
「・・・抱き枕ですか?」
一瞬表情が固まったリヒャルトは、非難するような視線をフレッドに向けた。

「はははっ。そんな怖い顔しないでよ!ミレーユがリヒャルトがよく眠れるようにっていう心配からだよ。まあ、中身の有無はきみ次第だろうけど。」
ぱちりと片目を瞑って悪戯っぽく笑う。きみ次第と言いながら、選択肢のないことは言っている本人がよくわかっているだろうに。

「・・・中身?・・・そういえば、この着ぐるみってアルテマリスの凄腕の職人さんが作っているのよね?シアランまで修繕を頼んだり出来るのかしら?中の着心地も素晴らしく滑らかでびっくりするんだけど手入れとか大変よね?ヴィルフリート様もご贔屓にされていたみたいだし、これだけの職人技着ぐるみだけで終わっていないはずだし・・・・・。フレッドに頼めばしっかり手配はしてくれるんでしょうけど。」
あっさりと含まれた意味を流して、真剣に職人の仕事に思いを馳せるミレーユにリヒャルトは苦笑いをする。

「大丈夫ですよ。ミレーユ。あなたの気持ちだけで十分安心して眠る事ができそうです。実際、着ぐるみと寝たとして、寝起きの悪い俺が賊か何かと間違えて朝から大騒ぎになった方が大変です。」
そう言うとリヒャルトはたしなめるように着ぐるみの前足をとって優しくあやすようにぽんぽんと触れた。
気遣ってくれる方向が斜め上の方向であろうと、癒される事には違いない。

「えーっ、すごくいい案だと思ったのに・・・。残念だわ。でも、仕方ないわね。あなたの寝起きはいろいろと問題あるもの。」
がっかりしたように肩を落とすミレーユとほっとした顔をしつつも、落ち込んでしまったリヒャルトにフレッドが楽しそうに声をかけた。

「はははっ。元気だしなよ、ミレーユ。リヒャルトには着ぐるみの添い寝よりも安眠する方法がちゃんとあるんだから。」
「えっ!?どんな方法?」
がばりと顔をあげて真剣な顔で問い詰めてくる妹にフレッドは輝くばかりの笑顔を向ける。

「ミレーユは知っているはずだけどね。きみも眠れない時くらいあっただろう?思い出してごらんよ。・・・・・それに、花嫁修業の成果を花嫁になる前に実行されても花婿としてはつまらないんじゃないの?」
詰問する妹をさらりとかわすと、可愛らしく小首を傾げながら、リヒャルトに同意を求めた。
「・・・そうですね。結婚するまで修行には付き合いますが、修行の成果は楽しみに取っておきますよ。」
親友同士の絶妙なやりとりがかわされる。
再び前足をあやすように触れたまま、にっこりと微笑んだリヒャルトにミレーユは逆らえない。

「・・・どうして親友同士なのかよくわからなかったけど。なんだか、今ちょっとわかった気がするわ・・・。でも、あたしだけ答えがわからないなんてくやし過ぎるわ。まだまだ修行不足ってことなのね。はあ。本当に間に合うのかしら・・・。」
大きなため息をつきながら、修行不足を日々痛感しているミレーユは遠い目をした。

着ぐるみのうさぎの耳までがっくりとたれていそうな気配に、
「あせらなくていいですから。いつまでも俺は待っていますよ。」
柔らかな着ぐるみの感触は心地いいものだが、直にミレーユの手に触れられないもどかしさも伝わったのだろうか。
「ごめんなさい。いつまで待ってもらったらいいのかわからないわ。」
ミレーユの潤んだ瞳がリヒャルトをじっと見つめた。
天然発言はやめて欲しいと何度も言われた事がある。だが、天然なんだろうか。その魔性の瞳で俺を虜にするのはやめて欲しいと主張したならば聞き入れてもらえるのだろうか。


「・・・何かいい匂いがするわ。」
ミレーユはその可愛らしい鼻をくんくんとひくつかせた。

「ああ、こちらに来る途中、厨房をのぞいたら、今日のミレーユのおやつが焼きあがったばかりだったんですよ。隣の居間に準備するように伝えてありますから・・・・・。」
現実的な指摘にふと我に返る。
落ち込んでいるミレーユが少しでも元気になってくれればいいと、漂う香りの原因を知っているリヒャルトは説明する。

「リヒャルト、ありがとう。あなたって本当に優しい人よね。あたしがお腹すいているのって何でわかるのかしら。それに、どうして何にも言っていないのにあたしの好きなお菓子がわかるのかしら。本当に不思議よね。」
とろけるような笑顔をリヒャルトに見せると、
「じゃあ、お茶の準備を手伝ってくるわね。」
そう言い残すと、ミレーユはそのまま居間へと続く扉を通り抜けていってしまった。

「ミレーユ、ちょっと待って下さい・・・。着ぐるみのままじゃ食べれませんよ。俺も一緒に・・・。」
慌てて追いかけるリヒャルトを眺めながら、
「ははは。やっぱり二人ともぼくの手の届く距離にいてほしいな。」
フレッドは艶やかな笑顔を浮かべて、居間へと続く扉を抜けていった。

~終わり~


某イラストにときめいて。
ウチに辿り着いている方はすでにご存知だろうと思いますが。
可愛すぎる二人。
新刊が楽しみすぎるんだろう自分的な。
本当にいろいろと失礼いたしました。
なんか、本当に・・・・・。文才が欲しい。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。



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