2017-08

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雨が上がると 20 - 2011.08.19 Fri

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
乳兄弟と嫁候補?です。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。







『青い花』



「先日は危ないところを助けていただいて感謝しております。些少ですが、お礼として受け取っていただけますか?」
そう言いながらルドヴィックが差し出した手には、一冊の書物があった。
「草木などを、手遊びに記録していたものですが、先ごろようやく一冊にまとまったのです。身を飾る宝飾品などのほうがよろしいかとも思いましたが・・・。」
「いいえ。騎士を目指しているわたくしには宝飾品よりも、ふさわしい品ですわ。」
華麗な花が咲きこぼれる様な笑顔を向けられたが、その先にはしかめっつらがあるだけだ。
「・・・中を拝見してもよろしいですか?」
レルシンスカは渡された贈り物をその豊満な胸にぎゅっと抱きしめると、瞳を輝かせてルドヴィックに近づいてきた。
ぎょっとしたように、後ずさったルドヴィックではあったが、弟妹の勧めに従ったことに、先ほどまでの緊張が少し解けたような気がした。
廊下の端にある椅子に座るよう促すと、レルシンスカは残念そうな顔をして、大人しく書物を開いたのであった。

***

「兄様?先日レルシンスカ様に危ないところを助けていただいたと聞きましたが、お礼はなさったのですか?」
けたたましい様子でアンジェリカが私室にやってきたのは、ちょうどロジオンに最近のミレーユ嬢について詳細を質している最中であった。

「・・・何事だ。やかましい。」
相変わらず作法がなっていない。と、むっつりと答えると、
「まあ。また小兄様からミレーユ様についておききになっていたんですの?あんまり若君の想い人について詮索をなさると若君の御機嫌を損ねますわよ。」
呆れた様な顔をして、定例になりつつあるロジオンとの会話を立ち聞きでもしていたように、詰め寄ってきた。

「・・・何を言う。大事な若君の想い人だからこそ詳細な観察が必要なのだ。ふさわしくないところは直していただかないと。」
憮然として反論する。
「ご自分の想い人もいない方が何をおっしゃっているんですの。若君からご相談されたときに、女性が喜ぶ贈り物を一つくらい贈れるようになりませんと。いくらお優しい若君でも愛想をつかされてしまいますわよ。」

今までに幾度となく繰り返された会話だ。そのたびに容赦ない妹の言葉に、わかっていることとはいえ胸はえぐられる。
兄妹の応酬を目の前で無表情に見ていたロジオンは静かにうなずいている。
「・・・ぐっ。」
悔しさと情けなさで思わずうめき声を上げたことに同情を覚えたのだろう。
相変わらずの無表情ではあったが、
「ところで、先日、兄上の植物図鑑が完成しそうだと聞いたのですが。」
あからさまに話題を変えてきた。
助け船に安堵しつつも、すんなりと乗ってしまうことも躊躇われた。

だが、一瞬、迷った隙にアンジェリカの意外な言葉が続いた。
「まあ、あの素晴らしい植物図鑑が!」
両手を胸の前で祈るように組み合わせるとうっとりとあらぬ方向を見つめた。
「そうですわ!小言を言うばかりが兄様の全て・・・。だとつい普段から思っておりますが。そんな兄様の唯一の特技である模写の技・・・というより粗探しの果てに会得した観察力による、植物への偏愛が詳細に綴られた作品達が、とうとう一冊の本になったのでしたわね。」
「お前に偏愛などと呼ばれる筋合いはないっ。そもそも私が植物に興味を持ったのも、若君のお役に立ちたいと思っていたからだっ!実践はロジオンが得意としていたが・・・。」

偏愛の極みであろう本を何冊も出している妹にそうした表現をされるのは不本意だ。
だが、国を追われ隠遁を余儀なくされていた中、毒草を研究されていた若君の役に立てないかと思っていた頃・・・。
「兄様は、あんなにそっくりにいろいろなものを描かれるのだから、薬草と毒草の区別を細かく観察して図鑑に出来るのではないかしら?」
と最初に提案したのはアンジェリカだった。

***

政変後、生き残った一人として母国と主の為に一体何ができるのか。
やるせない気持ちの矛先を何処にむけたらいいのか。緊張の続く日々に常に心安まる時間は無かった。
日々の雑事はこなしきれないほど山積みだった。そして、それをこなさねば命にかかわる事態になることなど容易に想像ができた。
飛ぶように時間が過ぎていくことは、焦燥感をもたらしたが、同時に、大切な若君が確実にご成長されていることも実感できた。

身分を隠し、ラドフォード男爵の伝手を頼りにアルテマリス入りした後、叔父である王弟殿下の後見が決まり、対面がかなう頃には、流された血の夥しさに、若君の心はかなり損なわれていた。
生気のない目をした甥との再会に、脆弱ではあるが心優しいのであろう王弟殿下は人目も憚らず滂沱と泣いた。

大人が。大の男が涙を流して泣く・・・。
シアランでは経験した事の無いこの出来事に、若君はそれまでとは違った衝撃を受けられたようだった。
はっとしたような表情をされると、慌てて駆け寄り、ハンカチを取り出して、涙を拭くように差し出された。
「・・・・・君は優しい子だね。」
そう言って、差し出されたハンカチとその手を握りしめて離さない叔父に、母君であるクラウディーネ様の面影を見つけられたのかもしれなかった。
その後も、感情を露わにし過ぎるように見えなくもない王弟殿下に引きずられてしまわれたのか、少しずつ表情が戻られていったように感じられた。
充実した書庫をもつ叔父のそばにいて、好きなだけ読書に耽る事のできる環境も良かったのだろう。
そして、冷静になった思考で、政変の原因となった伝染病について、静かに考察を深めていかれたのだった。

毒草と薬草の研究を始められた若君は、書物でも調査されていたが、実際に現地に行かれて採取される場合もあった。
そんな折、書物には記されていない植物を発見する事もあり、そうしたものを現地の案内人に説明された使用法などと共に記録する事が、自然と自分の役目になっていた。

交易の盛んなシアランで美術品や工芸品などに疎くてはいけないと、そうした様々な作品を模写してはその違いについて説明を添えたものを書くように、最初に教えてくれたのは父であった。
はじめは言われるままに描いていたのだが、母が乳母を務める頃にはすっかり自分でも面白くなり、新しい作品に触れる機会があるたびに自ら描くようになっていた。
描いた図譜を若君の教師陣の一人が活用している事を聞いた時、実に誇らしく思ったものだ。

「絵画としての魅力はありませんが、実物と寸分違わず描くことができるというのは才能の一つですわね。」
手元を覗き込んで、そう評する妹の言葉に素直に嬉しいと思ったことは、意外な発見だった。
華やかな芸術とは縁があるとは思っていない。仕える主に役に立つなら、それが本望だ。
一心不乱に物事に集中できる時間というのは、休息にも似た効果があるらしい。
描いている間は、普段とは異なる緊張感に包まれ、出来上がった瞬間は、大層爽快な気分になれた。

そんなある日、初夏の日射しが眩しい中、木蔭に入って模写をしていた時であった。
「相変わらず、ルドヴィックは見事だな。だが、薬草や毒草ばかりではなく、野草や花も描いてみたらどうだ?見渡すばかりの花園で、描いているのが毒々しい色をした薬草というのがらしいといえばらしいが・・・・・。」
苦笑しながら、そう呟いた若君が、複雑な顔をして濃青色の花の海を見渡しているのを、故国の水辺を思い出されていると感じたのは、自らも寄せては返す漣を思い出したからだろうか。
憎しみも悲しみも思い出も呑み込んでしまう深い青色は、しばらくは目に焼きついて離れなかった。

***

「こちらの花色は素晴らしい深い青色ですね。私の郷里にも咲いておりますが、見事に再現されておりますわ。」
侯爵令嬢がうっとりとした様子でこちらを見つめながら、話しかけてきた。
手元に広げられた先に描かれた花は件の青い花であった。
「そうですか。それは光栄です。実は、大公殿下にも以前同じ青色のものを差し上げたことがあり、喜んでいただけました。」
「・・・まあ、大公殿下に。」
「はい。」

若君のお誕生日に、ロジオンは育てた鉢植えを贈ると言っていたので、僭越ながら、青い花園を模写した絵を額におさめ贈ったのだった。
随分と意外な顔をされていたが、アンジェリカの創作したものより喜んでいただけたと信じている・・・・・。

「咳止めの薬効もあるそうですわ。」
「・・・・・そうですか、それは存じ上げませんでした。花色が殿下のお気に召されたようでしたので、印象深く残っております。」
「そうですわね。とても素敵なお色・・・・・。」
ほうっとため息をつく様子は見るものを虜にしそうな振る舞いだ。ミレーユ嬢にもぜひ見習ってもらいたいものだ。
「それでは、仕事がありますので、これで失礼します。先日はありがとうございました。」
本を渡すだけに随分と時間を掛けてしまった気がする。
口上を述べて踵を返すと侯爵令嬢の立ち上がる気配がした。
「・・・・・あの・・・・・。」
消え入りそうな声で呟いた言葉に戦慄が走る。
聞こえなかった事にして、若君がいらっしゃるはずの館へと急いだ。

***

「小兄様、先日、レルシンスカ様から、鞭の使い方についての本を兄様に贈りたいとご相談を受けたのですが。」
「聞いている。だが、それは断ったと聞いた。とても興味深かったのだが・・・・・。」
「まあ、そうでしたの・・・・・。」
上の兄でも下の兄でも構わないが、結婚の報告をすることができれば、さぞかし若君はお喜びになるでしょうに。と、アンジェリカは一人思案するのであった。

~終わり~


ということで、シツレイイタシマシタ。
捏造にも程があるということで。
器用な弟妹を見ていると、ルド様も何か特技がありそう・・・・・。と妄想を膨らませてみました。
ソラリーヤ家は文官系なのか武官系なのか・・・・・。両方???

シーカ嬢も嫁にいけるなら喜んで父と弟は送り出しそう・・・。とか。
本人はルド様とはいっても、案外ロジオンと趣味は合いそう・・・・・。とか。
ルド様がミレーユ嬢を気に入らないのは胸が足りないから?とか。
エドゥパパの事をルド様はどういう風に思っているのかしら?とか。
好き勝手な事を思いつつ。

青い花は→矢車菊を。
花言葉が優雅、繊細、幸福とか独身生活だとか。

若君の誕生日にめでたい報告でもできるといいのにね(笑)。とか思うのでした。
今更なんですが、
8月。誕生日おめでとう!リヒャルトさん。
というのも込めて?

最後までおつきあいくださりありがとうございました。

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