2017-06

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雨が上がると 21 - 2011.10.27 Thu

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
ママ視点な誕生日?です。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。







『灯の続く先に』


「無事に生まれたよ!双子の男の子と女の子だ!ジュリア、頑張ったね。」
朦朧とした頭に、シェリーの声が聞こえる。
周期的に波をうつ痛みから、体中が軋んで壊れそうな痛みに変わってから、もうどの位経ったのだろう。
今が夜中なのか明け方なのか・・・・・。それとも昼間なのだろうか・・・・・。
寝台に横たわっていることは辛うじて確かめられる。
目の前にほのかな灯のように輝く二つの命。
周囲が慌ただしいとしか感じ取れなかったが、赤ん坊の泣き声が二種類。
それだけは確認できた事に安堵して、ジュリアの意識はぷつりと途切れた。

***

「ねえ、ママ。今度のぼくたちの誕生日にアルテマリスに来てくれないかな・・・・・。」
「はぁ?」
突然の息子の提案に何を考えているのかとじっと見つめると、小さい頃から評判だった─天使の顔─で微笑んでいた。

養子に出た息子は常に傍にいるわけではない。
ふらりと帰ってきて、またふらりと出かけてしまうけれど、いつも気に掛けてくれているのはよく知っている。
まだまだ小さくて可愛くて、いつまで手のかかる事かと不安になった頃が懐かしい。
双子の妹とのいたずら放題な騒がしくも楽しい毎日が続かなくなるだなんて、思っても見なかった。

「そんな長旅、店を休まなきゃいけないんだから、無理に決まっているじゃない。」
呆れたように一蹴すると、
「おじいちゃんも一緒だよ?」
一日の作業が一段落して、店の奥・・・中庭を挟んでダニエルがいる母屋の方を向いてフレッドはにっこりと小首を傾げる。
「じゃあ、父さんだけ連れて行ってあげたらいいじゃない。店を留守にするわけにはいかないわ。」
「そんなぁー。・・・ロイだっけ?彼がいるじゃない。」

店の跡継ぎとして、立候補している近所の幼なじみ。
妹の婿としては全く気に入らないようだけれど、異国へと修行に行ってまで、店を継ごうとしてくれる覚悟を多少は買っているようだ。
ただ、肝心の娘の気持ちを動かす事は今の所全く見込みがない・・・。
可哀相だと思うけれど、どうしてあんなにも空回ってしまうのか気付けないようなら、横からかっさらわれても仕方ないだろう。
「まだまだ半人前でしょ?」
違う家の跡継ぎになってしまった息子の額をちょっと強めに小突いてやった。

「今度で十七になるんだよ?」
「知っているわよ?何かあるの?」
「うん。おばあさまが亡くなって、親戚のごたごたは何とかなりそうだしね。」
「・・・ふうん。」
跡継ぎが必要だからといって連れて行ったのに・・・・・。
実は反対している身内が健在だったなんて腹立たしい過去を思い出してしまった。
それを知っても養子に出す事を止められなかった自分も思い出して、余計に悔しくなってきた。

「・・・眉間に皺を寄せて怒った顔も綺麗だね!さすが、美しいぼくのママ!」
いらない一言もあったけれど、歌うようにそういって、ぎゅっと抱きついてきた。

昔から、人の顔色を読むのは得意な子だった。
先回りして、相手の口を閉じることができるのはきっと特技の一つだというだろう。
それでも、勝気な自分ですら飛び込めなかった環境で傷ついていないかずっと気がかりだった。
久しぶりに会う度に、少しずつ高くなっていく背丈、たくましくなっていく顔つきに、ずっとそばにいたら気が付けたかしら?
・・・下町では見ることのないきらびやかな衣装が妙に似合っていく事実にかなり複雑だった。

「だから、ママもドレスが絶対に似合うよ。今度ぼくに見立てさせてね!ミレーユのドレスも決まっているんだよ!もちろん、美の女神に愛されたぼくらは何を着ても美しいけどね!」
ぱちりと片目を瞑って呆れたことを言う。

「きらきらひらひらして、毎日何するのかしらね。」
そばにあるほっぺをぷにっとつまんで、自慢のお顔を可愛くしてやった。
「ママー!」
素早く自分から離れると、力いっぱい引っ張られた頬を急いで両手で揉みほぐしている。
文句を言いたそうな顔のすごく可愛い事は内緒にしておく。

「今はしょうがないか。でも、まだあきらめたわけじゃないからね。」
引き際を心得ている息子はどこから取り出したのか、手鏡で顔が元に戻った事を確認すると、にっこりと微笑んだ。

「・・・・・残念だけど。今日はこれからアルテマリスに戻るね。あと、残り物でかまわないんだけど、パンを包んでもらっていい?その間におじいちゃんにあいさつして来るね!」
「わかった。あんたの好きなパンいれとくわ。」
「さっすがママ!」
軽く片目を瞑って颯爽と母屋へと駆けていく息子の後ろ姿を見ながら、そういえば出会った頃と同じ年齢になるのか。と鮮やかに一つの顔が甦った。

鐘の音を響かせて軽やかに扉が開く。
「ただいまー!ママ、フレッドまだいる?」
その音でジュリアは我に返った。

「おかえり。ミレーユ。奥で父さんに挨拶してくるって。」
「わかったー。」
嬉しそうな声で返事をすると、ミレーユはいそいそと奥に向かって行った。
兄が帰る前にと急いできたのだろう。額に少し汗をかいている。
短く切った髪が似合わないということはないけれど。
ずっと長く伸ばしていた髪をばっさりと切った姿は衝撃のあまり言葉がなかった。

***

旅先で何があったのか。
問い質す前に、腕は目の前にあった男の首をぎゅうぎゅうと締め上げていた。
無言でひたすら締め上げる母親に恐れおののきつつも、必死で理由を話し始めた娘に、何と声をかけようと躊躇っていたら「驚いたが、短い髪もよく似合うじゃないか。」とそばで言ったのは父のダニエルだった。

「まあ、ジュリアもその辺りでやめておきなさい。エドが失神してしまうよ。」
苦笑しながら、締め上げていた手をそっと首から外そうとする。
もう、いっそこのまま昇天させたほうがいいんじゃないかしら。と思っていたことに、気が付かれていたのかも知れない。
小柄な姿に似合わず、パン職人として鍛えられた腕力はかなりのものである。
それ以上に、穏やかな言葉にすっと気持ちが落ち着いてくる。
小さい頃に亡くなった母親の代わりもさらりとこなしていた父に、今でもたくさんの事を教えられる。

「・・・そうよ!ママ!びっくりしたけど、パパは生きていたのね?」
突然思い出したように叫ぶミレーユに、その場にいる皆が注目する。
・・・・・風向きが変わってしまうような質問には答えられない。
「おかえり。ミレーユ。奥で明日の仕込みしてこないと・・・・・。」
「ちょっ、ママ!?」
だらしなくにやけたエドを一瞥して突き放すと、その足で扉の向こうへと逃げ出した。
その後、父さんがどういった説明をしたのかわからないけれど、ミレーユが何も訊かなかったということは、何かしら納得してくれたのだろう。

短くなった髪のまま、店に出るようになったミレーユは、友人からも「意外と似合う」という言葉を聞いて満更でもなかったらしい。
それとも、数日して届いた兄とは違う人物からの手紙に気持ちが向いていたのだろうか。
いそいそと返事を書く様子に、父と顔を見合わせたのはついこの前だ。
折返し来る返事の速さにまず驚いたけれど・・・・・。
受け取るミレーユの嬉しそうな顔がいつもと違う事に気がつかされる。
「今度十七になるんだよ。」というフレッドの言葉が過ぎった。

まさか、その後、店の扉を一刀両断できるほどの人物だったとは思いも寄らず。
お転婆過ぎる娘にはちょうどいいのかもしれないとひそかに心強く思ったりもした。
フレッドからの手紙とミレーユの話からしか想像できなかった、エドのもう一人の息子に、かなり興味を引かれたのは、ミレーユをじっと見つめるその瞳が、昔のエドに似ていたからかもしれない。

***

「ねえ。ママ、このドレスがいいな。」
「・・・・・ねえ。フレッドー。どうしてもそれ着なくちゃいけないの?」
「ぼくらの誕生日なんだから、お祝いだと思って。ね、おじいちゃん。」
「そうだね。よく似合っているよ。ジュリア。それに、この衣装に普段着で並ばれてもさみしいじゃないか。意外と似合うだろう?」
「・・・・・仕方ないわね。フレッドをこれ以上泣かせても仕方ないし、料理もお酒も普段着じゃ味わえないっていうんじゃ。・・・ほんと、意外とその衣装が似合う父さんにもおどろいたけど。」
「ははは。ありがとう、ジュリア。」

***

あの日生まれた小さな小さな可愛い双子。
十七歳の誕生日に、一人は大切な母親の形見を贈られ、もう一人はこの世に一つしかない特注の品を贈ったらしい。
きらきらと輝く笑顔そのままに、あたたかな灯を胸に抱いて、幸せになって欲しいと心から願う。


~終わり~

ということでいろいろとシツレイイタシマシタ。

10月末は双子の誕生日記念ですから。
おめでとう!フレミレ!

つかみきれないママとフレッドさん。
時期としては「挑戦」の誕生日辺りで・・・・・。
ダニエルさんは酒席には参加しなかったみたいですが、顔くらいは出しただろうし?
と勝手に妄想。

オールセン家が大好きなのですが、アーネットさんは出せませんでした・・・。
行動力があって、ダニエルが好きとしかわからないし(笑)。
ママの美女ぶりを見ると綺麗な人なんでしょうしね。
ママの背が案外高いので、フレッドさんとの身長差も謎。
おじいちゃんは意外と小さめ?

オールセン家は押しかけ女房、未婚の母、駆け落ちと大変ですよね(笑)。
とは言っても、エドゥパパはご近所さんでも有名なくらい出入りしていたんですよね(笑)?
何気にミレーユもジュリアと同じ面食いというご近所さんの台詞に噴いたんですが(笑)。
ダニエルさんと先に知り合いということは、その前から出没していたんでしょうかね?
それともアーネットさんの実家と何かしら関係あったとか?

さて、自宅で産婆さんとご近所さんで出産?と思うのですが、どうなんでしょうか?
双子も普通分娩だと陣痛は何回・・・?といろんな謎はそのままに。
一人産むのだって大変だろうしねぇ・・・・・。
シェリーさんは絶対付き添っている気がするのですが(笑)。

それにしても、前回にしろ今回にしろ、お祝いなのに何だか切ない話に。
周りから幸せを祈っております。

最後までお付き合いくださりありがとうございました!

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