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雨が上がると 28 - 2012.02.24 Fri

雨が上がると虹がかかる。

ということで、何を血迷ったのか(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
待っている王女と出かける叔父の邂逅を捏造。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。






『庭園の花』


「何を作っておいでですか。」
背後から突然声を掛けられて、セシリアは小さな悲鳴をあげるともに、手にしていたものを取り落としてしまった。

「あ、これは失礼しました。」
声の主は彼女の手からこぼれ落ちたものを掬い上げると、優しく微笑んでそっと差し出した。
「ありがとうございます。ベルンハルト公爵。わたくしこそ失礼をいたしました。」
悲鳴を上げてしまった事に対して、はずかしげに頬を染めるセシリアの様子は、エドゥアルトに、図らずも過ぎし日の小さな姉を思い出させた。

「何を作っておいでだったのですか?」
手の平に掬い上げた小さな常緑樹の葉は、セシリアの手にもまだ数枚残っている。
彼女の後ろに広がる庭園のベンチの上には、手の平におさまりそうな大きさの雪玉がいくつか並べられていた。

一見しただけでは、何だかわからない。
雪遊びには、少し自信のあるエドゥアルトだ。
その正体を確かめようとして、じっくりと見つめていると、
「……花を作ろうと思っていたのです。」
消え入りそうな声で、セシリアがつぶやいた。

「花ですか…。」
あっさりと答えがわかってしまったが、目の前にある雪玉は、雪玉以外には見えない。
手にした葉を添えればそれらしくなるだろうか?

「白百合ですか?」
にっこりと微笑んで、一番彼女の身近であろう花を口にしてみる。
「・・・いいえ。さすがにそんなに丸くはないと思うのですが・・・・・。」
作った本人にもその出来栄えはいささか不本意だったようだ。
しかし、全くの見当外れな花の名前に、拗ねたように頬を膨らます。
可愛らしいその様子は、意外にも最愛の娘を連想させる。

「随分と数を作られたようですが、お手が冷たくなってはいませんか?」
普段は奥宮にこもっていることの多い王女だ。
偶然通りかかったエドゥアルトも、めずらしいその姿に、思わず声を掛けたのだった。

「…へ、平気です。」
小さな白い手をそっと隠すように後ろへと回す。
ちらりと見えた手のひらは、少し赤くなっていた。
少し意地っ張りなところは、姉に似たのだろうか。

見た目に反しておてんばな姉は、書庫に閉じこもりがちな自分を、こっそりと王宮内だけではあったが、冒険に連れ出してくれたものだった。
木登りをしたり、花を摘んだりと、見つかったら確実に叱られることを、それは楽しそうに遊んでいた。
木登りなど出来ない自分は、他の人間に見つからないようにと、彼女の周囲を見張る役目を与えられ、張り切ってその任務を遂行したものだ。

「そろそろ終わりにしないと見つかってしまうわね。」そう言って、楽しい時間の終了を告げる彼女の手足にはどこかしらすり傷のできている場合が多かった。
痛そうな様子に医師や薬師を呼びに行こうとする自分を慌てて押し止めて、元いた場所までこっそりと送ってくれた。
秘密の冒険に怪我はつきものだと、医師や薬師のための本に興味を覚え始めたのもあの頃だった。

明るくて優しい彼女は、年頃になると異国へと嫁いでいった。
その一生は幸福に満ちていたとは言い難いのかも知れない。
その忘れ形見の二人の成長を間近で見ることができた自分は間違いなく幸せだと思う。
王族に生まれた不自由さ。それはもちろんあったけれど、その立場でしか手伝えないこともある。

「薔薇を作ろうと思っていたのです…。」
すこし、頬が赤くなったように見えるのは、寒さの所為だろうか。
それとも、真っ白な雪で作る薔薇から何かを連想しているのだろうか。
「雪の薔薇ですか……。」
王女の手のひらに乗るくらい。そう思って、そばの雪をすくって雪玉にする。
大きさが決まるまで、重ねて雪をはりつけて、薔薇の花びらを模して、形を整えていく。

「……まあ。なんてそっくりな。」
そばで熱心に薔薇が形作られていくのを見つめていたセシリアは、感嘆のため息とともに、うっとりとつぶやいた。
「はい、できました。差し上げるには無粋なものかもしれませんが。」
エドゥアルトは微笑んで、セシリアの手のひらにのせる。

「よろしいのですか?」
示されるまま手を差し出してしまったが、セシリアに戸惑いの表情が浮かぶ。
「もちろんです。受け取っていただければ光栄ですよ。でも、殿下の手のひらが冷たいですね。」
「そんなこと!それよりも融けてしまいますわね…!ローズ!何か入れ物はないかしら?」
そばに控えていたお付きの侍女が慌てたように走り去り、あっという間に、小さなガラスの器を用意して来た。

「姫さま!こちらはいかがでしょうか?」
少し息が切れた様子に、エドゥアルトは申し訳なく思いながら、ガラスに盛られた雪の薔薇に満足する。
「まるで、白薔薇のようですね。」
それをきいた瞬間、セシリアの顔が真っ赤に染まる。
しかし、エドゥアルトはその様子に全く気がつく事なく、じっと薔薇を見つめていた。

「今度雪が積もったら、白百合を造っていただけますか?」
一向に動かない様子のエドゥアルトに、頬の熱がすっかりとひいた後、セシリアは躊躇いながら声を掛けた。
「今度ですか?」
「はい。今日は公爵の手も真っ赤ですから。」
「…今度は少し難しいかもしれません。…実は、これからシアランへ赴くことになったのですよ。」
エドゥアルトは、少し困ったように微笑んで意外な言葉をセシリアに告げた。

「陛下の命令ですか?」
自分でも驚くほど大きな声で、セシリアはエドゥアルトに訊ねていた。
「……私の希望なんですよ。大事な三人の子供たちの行く末を、少しでも手伝ってあげられるかもしれない……。」
普段、あまり交流が多いとはいえない叔父ではあるが。こんなに、意志の強い瞳をしていただろうか。三人の子供たち。その言葉にセシリアは胸が熱くなる。

「わかりました。薔薇が咲き誇る頃までにはお帰りになっていることを心から祈って、お待ちしておりますわ。」
「ありがとうございます。殿下。」
優雅に一礼すると、エドゥアルトは雪の庭をあとにしたのであった。

~終わり~

イロイロトシツレイイタシマシタ。
ということで、書いた私しか楽しくないであろう(笑)エドゥパパとセシリアさま。
大分前に途中まで書いた物を発掘してしまったので。この時期しかないということで。
誰ですか?これ?なのもすみません…orz。きっといつものことです。

セシリアさまはパパの事をなんて呼んでいるのでしょうね?と思いつつ。
「公爵」呼び?「おじさま」呼び?それとも他にあるのでしょうか?

パパはきっと、王宮ではそれなりに王弟殿下だと思っているのは私だけですかね?(笑)。
パパにとっては、リヒャルトさんもセシリアさまもきっと大事に思っているはず。ということで。

いつになく頑張ってシアランに出発する前のパパと、心配して待っているセシリアさまでした。
でも、出かける前はパパはテンパッテいて、準備は切れ者執事が全部手配してくれそうですけどね(笑)。

それでは最後までのお付き合いありがとうございました。


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● COMMENT ●

コメントありがとうございました!

はじめまして。
ほんわかとおっしゃっていただけて嬉しいです!
二人の組み合わせは原作でもなかった気がしますが、そのうち触れ合う時など来るのでしょうか?
ジークに好かれている事といい、穏やかな関係が築かれているといいなあ。と思っております。
パパは元白薔薇の君(笑)と勝手に思っております(笑)。
お付き合いありがとうございました!

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のんたん様

コメントありがとうございました!
ほのぼのといっていただけるととても嬉しいです!

セシリアさまはパパを見ながら、伯爵の未来の姿!?とか思っているといいなあ(笑)。
そうなるとつんつんするのかしら?(笑)。
そんなことされたら、パパもときめいてしまいそうですけどね(笑)。

お付き合いくださりありがとうございました!
少しずつ春めいてまいりましたが、まだまだ寒い日が続きます。
体調など崩されませんようご自愛下さいませ。

No title

  エドパパとセシリアの間にこんなお話があってもおかしくないですよね
エドにはつんつんしないだろうし(笑)
読んでいてほのぼのしてきました。ありがとうございました。。


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