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雨が上がると35 - 2014.10.30 Thu

雨が上がると虹がかかる。

ということで、未だ血迷っております(笑)。
降ってきたので書いてみました。

いちゃラブも原作「身代わり伯爵」の雰囲気も無い自己満足です。
双子のお誕生日ということで。

出版社、原作者とは一切関係ありません。
何を読んでも大丈夫な方だけどうぞ。

以下、二次というもので。


『おくりもの』

今年も編んでしまった。
完成した黄色のショールを目の前に広げて、
思わずほうっとため息をつく。
一年前のものよりも少し大きめの寸法と、少しだけ凝った模様。一年分の思いを込めて編み続けている恒例の品。
去年は思いもかけず受け取ってもらえた喜びを思い出して、セシリアは頬を染めた。
思えば、この一年のなんと長く感じられたことだろう。

恋人たちの逢瀬を邪魔したくないと、人払いをしたはずなのに、いつもと同じようにそばで守ってくれるつもりだったらしい。
鳶色の優しい眼差しをして、当然のように護衛をするあの人には、特にこの部屋にはいて欲しくなかった。

わたくしよりも会いに行って欲しい人がいて、思わず嘘をつかないでと言ったあの日。
あのような顔を見られることがとても嬉しかった。
いつもそばにいて、優しく見守って下さった人。
今はそばにいられないけれど、思い出すだけでもあたたかな気持ちになれる。
夏の日に再びお会いできた時に、お二人が並んだ様子は、以前とは見違えてしまって心が騒いだ。
白百合騎士団の皆がこっそりと様子を教えてくれていたけれど、目にするまでは冗談かと思っていた。

彼女が追いかけていったあと、何があったかは子爵が教えて下さったけれど、全てではないだろう。
リディエンヌお義姉さまもそっと教えて下さったこともあったけれど、とにかく御無事でいてほしいと祈るばかりだった。
積み重ねた年月と準備が実を結び、そのそばに共に彼女もいられることがはっきりした時、本当に嬉しかった。

役立たずなわたくし。せめてものわたくしの気持ちと、お父様とお母様の気持ちを海のしずくとともに彼女に託して、祈って待つことしかできなかった。
そばにいられないわたくしたちの気持ちを彼女ならお兄様に伝えてくれるだろう。
お兄様も、唯一の人である彼女のそばにいて欲しいというわたくしたちの気持ちをわかってくださるだろう。

ショールが手に触れる。
ミレーユもお兄様に贈ると言っていた。去年は渡せなかったら、去年の分も気持ちを込めて、薬草から紡いだ糸を準備しているのだと。
無事に渡せたかしら。
でも・・・今日は彼女の誕生日だから、お兄様の方が贈り物を用意されているのかしら。
二人の仲睦まじい様子を思い出して、暖かい気持ちになった。

「何かいい事でもありましたか?」
突然、涼やかな声が響いた。
「な、何かいいことなどないわっ。」
驚いて慌てて椅子から立ち上がると、目の前に伯爵が立っていた。

「い、いつの間に!なぜここにいるのっ!?・・・今日は人払いをしてあるはずよ。」
するすると可愛くない言葉が滑り出る。
「そうですね。今日はアルテマリス中が浮かれているので、困った人たちが迷い込まないように、あなたの騎士団長が参上した次第です。」
そういうと、窓のほうへと近づいて行った。おもてを一通り見渡した様子で、満足そうにうなずいた。
「あちらこちらで浮き足立っているようですね。ショールも飛び交っているようですよ。」
いつもの胡散臭い笑顔でこちらへと近づいてくる。

「・・・・・・。」
ぎゅっと握ったままのショールをどうしようかと辺りを見回すけれど隠す場所が見当たらない。
浮かれているならわたくしも・・・・・・。こんなに近づくまで気が付かなかった。

「今日はぼくの誕生日なんですよ。去年は可愛い妹と親友に祝ってもらえて、とても嬉しかったのに。」
「だ、だからなんだというのっ!わたくしには関係ない事だわっ。」
知っているし、今年こそはきちんとお祝いの言葉を言いたいのにっ!口からは違う言葉が滑り出る。

「それに、白百合の皆が祝宴を用意していると聞いているわ。・・・行かなかったの?」
「大宴会が開かれていますよ。セオラスの新作料理が美味しかったですよ。」
けろりとした顔で返事をする。
「それならっ・・・。」
なぜわたくしのところへ来たの?そう訊きたいけれど、言葉が出ない。

「リヒャルトは、誕生日のお祝いにミレーユにお菓子を贈るそうですよ。ミレーユの喜ぶ顔が目に浮かびます。」
突然の話題の転換に戸惑う。驚いて伯爵を見るといつになく優しい顔をして微笑んでいた。伯爵はこんな顔をして笑ったかしら。
「リヒャルトの趣味はミレーユにお菓子を食べさせることなんだそうです。以前から、父への手土産にとひいきの店はあったんですが、ミレーユを喜ばせたくてたくさんのお店をまわったようですよ。」
当時を思い出したのか、クスクスと笑う。
「彼自身は甘いものを食べないでしょう?それなのに、彼の部屋の机の上には、ミレーユのためにお菓子がずらりと並べてあって感心したものです。白百合の皆から店の情報を教えてもらって、直接買い付けていたようですよ。」
街中のお菓子が並んだお店の前で・・・わたくしは見たことがないけれど・・・じっくり吟味するお兄様を想像した。
「父とミレーユの味覚は似ているらしく、ミレーユの好きなお菓子は父も気に入ったようですよ。執事から聞いた話ですが、何度か父にもお菓子が贈られていたらしく、とろけそうな顔をして食べていたそうです。」
「エドゥアルトさまも?」
たくさんお世話になったんだよ。とエドゥアルトさまのことを大切に思っていらしたことは聞いている。贈り物を喜んでいただけたなら、お兄様も嬉しかったことだろう。

「ミレーユは薬草から紡いだ糸でショールを編むと言っていたけれど・・・。」
お兄様の贈り物を教えてもらったのだから。ミレーユのお兄様への贈り物は伯爵は知っているのかしら?
「わざわざ薬草から?それは知りませんでした。ショールは無事に編みあがりそうだと聞いていますよ。セシリアさまに教えていただいたんだから、今年は絶対に完成してみせる。って張り切っていたようですよ。」
「そうなの・・・。」
去年はリディエンヌお義姉さまと一緒に三人でショールを編んでいた。今年は、リディエンヌお義姉さまと二人でショールを編んだけれど・・・完成されたのかしら?
手芸は苦手だと言っていたお義姉さまが、完成しませんよ。といって嬉しそうにその手を止めて、お義兄さまに連れ出されていたことを思い出した。

「最愛の妹の贈り物は、無事に親友に渡されたと思いますが、ぼくには誕生日の贈り物はあるんでしょうか?時間をかけた贈り物の話を聞くと、尚更。」
じっとわたくしの手元を見ている伯爵がわざとらしい。
「ほ、ほかに欲しいものがないというならっ!た、たまたまこの色の毛糸が余っていただけで、別に伯爵のために編んだわけではないのだからっ!!」
「他にほしいものですか?」
ふらふらと部屋の中を物色するように歩き回っている。いつの間に。
「そうですねぇ。ほしいものはありますが、今はショールにしておきます。」
「他にほしいものがあるなら、そちらを選べばいいのにっ。無駄口をたたいていないで、さっさと仕事に戻ることねっ!!」
思い切り持っていたショールを投げつけてしまった。

伯爵は軽やかに受け取り、ふわりと肩にはおって一礼すると、
「ありがとうございます。これはお返しに。」
そう言って袖口から薔薇を取り出して、颯爽と扉の向こうに消えてしまった。
いつもの白薔薇よりも小さな、琥珀でつくられた薔薇を残して。
わたくし、また夢を見ているのかしら。

~終わり~

フレミレ誕生日おめでとう!!!ということで、ここまでのお付き合いありがとうございます。
一年ぶりのようです。最近読み返していないので、ますます雰囲気がおかしい…。
そして、最初に書いた3時間分が久しぶりの更新で保存せずに吹き飛んだ・・・orz。
こまめに保存しましょう。
本編でリヒミレの誕生日はあったので、フレリアの誕生日を妄想しました。
楽しかった!!!
フレッドさん、去年は琥珀のカフスボタンでしたが、今年は何を贈ったんでしょうね。
イメージとしてはリヒャルトさんとかぶるペンダントトップ…というかネックレス?なのですが。
鎖はないイメージで。フレッドさんは束縛するのを嫌いそう。
琥珀って加工しやすいそうなので。でもフレッドさんのことだから、腕のいい職人さんをきっと知ってるはず。
薔薇がいいか百合がいいかと思いましたが。薔薇で(笑)。
来年も同じものを贈ってイヤリングにするか?とか色々妄想してみた。
楽しんでくだされば幸いです。
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